1956年のミラノ。シチリア出身のテレーザは、最先端の商品を取り扱い、売り場の女性は洗練され個性的だと評判の高級百貨店「パラダイス」で働くこととなった。経営者のピエトロと宣伝担当のヴィットリオは、テレーザが入社するや、美しく、まっすぐな彼女にたちまち魅了される。そんななか、取引銀行の頭取マンデッリの個人的な恨みから融資を止められ窮地に立たされたピエトロは、頭取令嬢のアンドレイーナに接近。彼女を夢中にさせたうえで、頭取に翻意を迫るためだ。テレーザは、令嬢と婚約したピエトロが、なぜ自分に優しくするのか分からずに困惑する。動揺する心に、一途なヴィットリオの誠実さがまぶしい。そんな彼女の気持ちは、ヴィットリオへ傾くが――。