今度のジャックは半熟ヒーロー!『CIA分析官 ジャック・ライアン』の魅力を声優・松田健一郎が語り尽くす

ベストセラー作家トム・クランシーのスパイ小説から生まれたヒーロー、ジャック・ライアンの若き日の活躍を描く連続ドラマ『CIA分析官 ジャック・ライアン』のシーズン2が、9月2日(水)よりいよいよDVDリリースとなる。これを記念して、ジャック・ライアン(ジョン・クラシンスキー)の吹き替えを担当する声優の松田健一郎にインタビュー! キーワードは「未完成」と「成長」、そして「サプライズ」...松田が分析する本ドラマの魅力とは?

シーズン2で独裁政権下の資源大国ベネズエラへ潜入し、利権をめぐる陰謀に巻き込まれたライアン。"今そこにある危機"の中、彼は難しい局面をどう乗り切るのか! 『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ、『LOST』のカールトン・キューズら最強製作陣が再び結集し、シーズン1をさらに上回る壮絶な戦い、そしてライアンのエージェントとしての成長を、迫力の映像とともに活写する!

20200826_jack ryan_01.jpg

――ジャック・ライアンというキャラクターを松田さんならではの視点で分析していただけますか?

ジャック・ライアンといえば、今までたくさん映画化され、"敏腕エージェント"という描かれ方をされてきましたよね。でも、今回のドラマシリーズでは、まだエージェントになりたての新人ということで、少し青さがある。どうしても自分で状況を脱しきれず、流されるままに事件に巻き込まれてしまう未熟さがあって、まだまだヒーローにはなりきれていない。半熟ヒーローという感じですね(笑) 演じるジョン・クラシンスキーさんの親しみやすい風貌も手伝って、応援したくなるというか、とても身近に感じる存在だなと思います。

――若くて荒削りですが、躍動感がありますよね。

そうですね。まだまだ未完成ですが、もともと海兵隊だったこともあってタフなところも時折見せるし、銃撃戦にも対応できますしね。さらに、海兵隊の後にウォール街で金融マンをやっていた時期もあったので、不正なお金の流れを見抜き、そこから相手を追い詰めていくという分析能力も持ち合わせている。そのあたりは、やがて一流のエージェントになっていく可能性を感じさせますよね。

20200826_jack ryan_02.jpg

――本ドラマでは若き日のライアンにスポットを当てていますが、役作りはどのようにされたのでしょう?

まだ場慣れしていないというか、エージェントとしては初心者なので、そういった意味では、どこか頼りなさ、若さゆえの詰めの甘さ、みたいなものは意識してお芝居していた部分はあるかもしれないですね。ただ、クラシンスキーさんの演技が素晴らしく、すごく入りやすかったので、あまり作り込まず、自然体でやれたような気がします。

――感情移入で難しかったところはありましたか?

このドラマの世界で描かれるのは、単純な善と悪との戦いじゃないんですよね。ただ単に相手を悪として憎むのではなく、人間同士の駆け引きじゃないですが、こちらにはこちら側の立場があって、あちら側にはあちら側の立場がある。そういった意味での"悲しいすれ違い"じゃないですが、ちゃんと双方の事情を理解した上でライアンも動かなければいけない、という思いはありました。

―― 一つひとつの行動の裏にいろんな感情が渦巻いていると。

そうなんですよね。特にシーズン1ではそういう駆け引きがすごく描かれていたじゃないですか。例えば、テロリスト側をずっと描いたりとか...。シーズン2でも相手側の事情をじっくり描いているので、そういったものを理解しながら、ライアンという人間はどう動くのか、そこの表現が難しかったですね。

20200826_jack ryan_05.jpg

――演じる上でシーズン1とシーズン2の違いは感じましたか?

シーズン1ではどうしても上司のグリーア(ウェンデル・ピアース)に振り回されて、状況に流されてしまう青さが目立ちましたが、シーズン2では自分で状況を作り出すというか、進んで現場に乗り込み、ちょっとした大胆さも見せるようになる。ただやっぱり、まだまだCIAのエージェントとしては未熟で、敵に出し抜かれてしまうところが結構あったりしますね。

――おっしゃるように、未熟なところはあるけれど、攻めの姿勢が出てきましたね。

シーズン1では暗躍する謎の存在として敵が描かれていましたが、シーズン2では明らかに敵として表立って攻撃してくる。そういった敵にジャックは翻弄されるばかりじゃなく、自分から相手を追い詰めていくというか、「絶対にシッポを掴んでやるぞ!」といった気骨を見せるんです。そこは成長を感じましたね。

20200826_jack ryan_04.jpg

――映画ではハリソン・フォードやアレック・ボールドウィンら錚々たる俳優が成熟したライアンを演じていますが、特定の誰かをライアンの将来像として意識したりされましたか?

すごい俳優さんたちが演じていらっしゃることは頭の中に入っていましたが、今回演じる上ではあまり意識しなかったですね。それよりも若いジャック・ライアンに集中して、シリーズを通して「一緒に成長していけたら」という思いでやっていました。のちのち、そういった完璧な存在になるのですが、そこはあまり考えなかったですね。

――ジャック・ライアンの映画で好きなのは?

最初に触れた作品は(シリーズ1作目の)『レッド・オクトーバーを追え!』でしたね。ただ、僕の場合、ジャック・ライアンよりも、原作者のトム・クランシーさんに興味があったんです。実はクランシーさんはゲーム界でも有名で、最近でも彼の作品を元にした『レインボーシックス シージ』『ディビジョン』『ゴーストリコン』『スプリンターセル』といったゲームも人気ですし、そういった意味ですごく馴染みがあったんですよね。確かゲームの世界でも、ジャック・ライアンにつながる作品もあったと思いますが。

――そういえば、ゲーム会社(『Red Storm Entertainment』)も設立されていますよね。

そうなんですよ。"Tom Clancy"s"シリーズという確立したブランドもあるんですよね。だから、ドラマのオファーが来た時、主演をやらせていただけることに感謝しながら真摯に台本を読んでいたんですが、読み進めていくうちに、「あれ、あれあれ? これってもしかして...トム・クランシーの作品じゃないか!!」って気づいて。そっちの方で舞い上がっちゃったんですよね(笑) 「まさかクランシーさんの作品を僕が!」っていう感じで。その後、冷静になって徐々にクランシーさんとジャック・ライアンのつながりを思い出した...実はそんな感じだったんです。

20200826_jack ryan_03.jpg

――ジャック・ライアンを演じた俳優ジョン・クラシンスキーの印象は?

クラシンスキーさん自身はすごい方ですよね。映画『クワイエット・プレイス』で製作・監督・脚本・主演の4役をこなしていますし、奥様も演技派のエミリー・ブラントさん(『メリー・ポピンズ リターンズ』)で、もう完璧ですよね。でも、なんとも言えない親しみやすさがあって、声をとても当てやすかった。たまに「あれ? この俳優さん、僕でいいのかな?」って思う時もありますが(笑)、クラシンスキーさんは他の作品でも僕がやりたいくらい! 本当に演じやすいし、大好きな俳優さんです。

――ジャック・ライアンとの出会いは、声優・松田健一郎に何をもたらしましたか?

僕自身、ドラマシリーズの吹き替えで単独主演は初めてで、しかもそれがジャック・ライアンということで、これまでにないビッグサプライズでした。シーズン3の製作は決定しましたが、できることなら10年くらいシリーズが続いてほしいですね(笑) 少し前なら、ジャックといえば『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーでしたが、2020年はジャックといえばジャック・ライアン! 動画配信などでも海外ドラマが盛り上がっているので、本ドラマもその波に乗っていけたらいいですね。

――最後に、シーズン2の見どころをアピールしていただけますか?

ライアンがかなり成長し、銃撃戦以外にも犯人を追いかけたり、敵と肉弾戦を交えたり、体を張るシーンも増えて、アクションがさらにスケールアップしています。あとは、裏をかき、先手を打ってくる敵に対して、ジャックがいかに応戦し、そして追い詰めていくか...持ち前の分析力も含めて期待していただきたいですね。ドラマファンだけでなく、ゲームファンの方々もぜひ観てください!

20200826_jack ryan_jacket.jpg

■『CIA分析官 ジャック・ライアン シーズン2』商品情報
<セル>
DVD-BOX(6,850円+税)...9月2日(水)発売
<レンタル>
DVD Vol.1~4...9月2日(水)レンタル開始
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
公式サイトはこちら

(取材・文/坂田正樹)

Photo:

松田健一郎
『CIA分析官 ジャック・ライアン シーズン2』
(c) 2020 Paramount Television and Amazon Content Services, LLC. All Rights Reserved.