シットコムを見直そう！　楽しい異文化交流のススメ

新しいドラマが本国とはそうタイムラグもなく上陸するようになってきた最近の日本の海外ドラマ事情（特にアメリカン・ドラマ）。その勢いは今年もますます加速しそうだけど、なんだかコメディだけは相変わらず不遇な気がする今日この頃。や、なんとな～く、コメディを敬遠してしまう気持ちは分かる。"笑い"って必ずしも世界共通じゃないし、お国柄の違いってのもあるし。アメリカン・ジョークなんていうと、どこが可笑しいのか全く分からない寒～い空気が漂ってしまう......っていうイメージが根強いもんね。
でも！　個人的にはアメリカン・コメディ大好き派なので、もうちょっとコメディにも目を向けて欲しい！と切に思うところ。「寒いジョークが連発されるのでは......」なんて固定観念に縛られてたら絶対損！な良質なコメディが今はたくさんあるんです！

例えば本国スタートから遅れること4年。ようやく日本でもDVD化された『30Rock』なんかはその代表ともいえる作品。
アメリカの4大ネットワークのひとつ、NBCのコメディショーのライター、リズ・レモンをヒロインに業界の内幕を描いたこのドラマは、なんといってもアラフォー女子のリアルな実態が描かれているのがツボ。業界でそこそこ成功し、そこそこにリッチだけど、こと恋愛となると"だめんず"を掴んでしまうイタタ......な感じ、なんとなく分かっちゃう自分が悲しいやら可笑しいやら。『サタデー・ナイト・ライブ』仕込みの観察眼で、「あるある！」と思わせる女性の実態をブラックなユーモアで描き出すヒロイン兼ライター兼プロデューサーのティナ・フェイの才能にはホント、恐れ入る。アクの強いキャラクター揃いながら見事に調和してるそのバランス感覚も絶妙なうえ、ドラマ好きとしても、TV業界の内幕がのぞけるのは無条件で楽しい。

アメリカで絶大な人気を誇った『フレンズ』終了の翌年からスタートした『ママと恋に落ちるまで』は、まさに第2の『フレンズ』と言えるアットホームな雰囲気が◎な作品。

主人公テッドがティーンになった子供たちに母親と出会うまでの顛末を語るという形で描かれる本作。マンハッタンを舞台にテッド、マーシャル、バーニーという悪友3人組にマーシャルの恋人リリー、テッドが恋に落ちるロビンという5人組の友情とロマンスが軽やかに描かれ、もちろんコメディ特有の誇張はあるものの、やっぱり「あるある！」と共感してしまうポイントが満載！　見ているうちに「こんな仲間がいたら楽しいよね」と素直に思えてしまう好感度の高いキャラクター・ワークがこの作品の最大の見どころだ。

逆にコミュニケーション・ギャップを徹底的に描き出すことで笑いを誘うのは『ビッグバン・セオリー』だ。

2人合わせてIQ360という天才コンビ、レナードとシェルドンの日常を綴ったこの作品は、オタクな仲間たちの世間ズレした感覚をユーモアたっぷりに描き、唯一の凡人である2人の隣人ペニーを通じて一般的な感覚とのギャップを浮き彫りにしていく。中でも天才中の天才で、それゆえ相当に浮世離れしているシェルドンとは、意思疎通もままならないこともしばしば。このギャップがあればあるほど、笑いがこみ上げてきて、いつの間にか目が離せなくなってくるからクセになる。実際に自分の周りに天才オタクがいないと、リアルに共感できるポイントは少ないかもしれないけど、この"同じ言葉を話しているはずなのに、宇宙人と話してるみたい"と思わせる人、どこぞの国の元首相にもいたっけね。てなわけで日本人的にはこのコミュニケーション・ギャップも不思議と分かってしまうはず。

どのコメディもブラックなユーモアというスパイスをピリっと効かせながらも、決して不快な笑いに繋がらないのが共通点。それにシットコムの良さはなんといっても1話30分もないところ。寝る前に1話ずつ見て笑って1日が終われば、日々の疲れも癒されるというものだ。

さらに真面目な話をすれば、コメディというのはその国の文化を知るうえでとても重要な役割を果たしてくれるもの。シットコムで描かれるのは日常のスケッチ。そこに描かれるのはまさにアメリカの縮図であり、それを誇張し笑いに転化しているわけで、シットコムを見るうちに、その国の感覚や伝統、時事的なトピックスまで、日本にいながらにして学んでいくことができてしまう。そう、これは立派な異文化交流。しかもこんなに手軽に楽しめるんだから、やっぱり見ないとソンソン！なのだ。

■『30ROCK／サーティー・ロック』
【DVD】シーズン1～3　好評リリース中！
発売元：デイライト／フジテレビ
販売元：TCエンタテインメント

■『ママと恋に落ちるまで』シーズン3
【放送】FOXlife
【字幕版】2月22日（火）21:00 スタート　※2話連続放送
毎週（火）21:00-22:00　放送