あのキャラ主役のスピンオフを計画中!?『ズートピア』バイロン・ハワード監督インタビュー

興行収入が全世界で10億ドル、日本国内で70億円を突破と世界中でメガヒットを記録しているディズニーアニメーション映画『ズートピア』。早くも8月10日(水)より先行デジタル配信、8月24日(水)にMovieNEX(4,000円+税)発売、ブルーレイ/DVDレンタル開始となる同作について、バイロン・ハワード監督に直撃インタビュー! 細部までこだわった同作に対する思い入れや、第2弾のアイデアなどについても語ってもらった。

20160711_zootopia_01.jpg

――この作品で一番大変だったことは?

なんといっても、納得できるような素晴らしいストーリーを練り上げることが一番大変だった。この作品に限らないんだけど、どれだけキャラクターの感情が詰まっていて、どれだけ娯楽性に富んでいて、どれだけアニメーションが美しくても、やはりストーリーがきちんと練り上げられていて成立していなければ、観客には共感してもらえないからね。

――本作のジュディとニック、『塔の上のラプンツェル』のラプンツェルとフリンのように、元気女子とやさぐれ男子という構図があなたの作品には多いですが、それに対するご自身の思い入れや、それを描くための秘訣があれば教えてください。

いい質問だね(笑) キャラクターを描く上では真実味というものを特に重視しているので、僕や(共同監督の)リッチ・ムーアをはじめとしたスタッフのいろいろな私的な体験を大いに生かしているんだ。例えばジュディは絶対に警官になりたいという夢を持っていて頑張るわけだけど、僕自身、幼い頃からディズニーのアニメーターになりたくて何度も挑戦した経験があるからね。応募しては何度も落ちたけど、それでも諦めずにようやく受かって、世の中のため、人々を楽しませるための仕事がしたいと思っているところは、ジュディと通じるものがある。ピュアな部分を持っているというのも共感できるし、実際に周りにいそうな、観客が自身を重ね合わせられるようなキャラクターを作ることが重要なんだよ。
20160711_zootopia_02.jpg
こういうバディものでは主役二人の描写が重要になるわけだけど、ニックが非常に世慣れたタイプなのに対し、ジュディは彼の予想を超える、さらに一歩先を行く賢さ、強さを持っていること、一方でユーモアのセンスも蓄えているような魅力的なキャラクターであることが大事なんだ。ナマケモノが働く運輸局のシーンは、そんな二人のダイナミックさがよく表れていたと思う。非常に応援したくなる、自分も見ていて楽しい関係性を作りたかった。そしてストーリーが進むと、実はニックが幼少時代はジュディのように理想に燃えていて、けれども周りに理解されず酷い仕打ちを受けたことが判明する。二人は実は思っていた以上に似た体験をしていて、ニックの場合はそれでくじけてあんな風にやさぐれてしまったけど、ジュディはそれでも負けるもんかと思って、世の中を良くしようとさらに努力を続けたわけで、そこで二人の道が分かれていたところも面白いポイントだと思う。

――ジュディ役のジニファー・グッドウィン、ニック役のジェイソン・ベイトマン、警察署長ボゴ役のイドリス・エルバ、ライオンハート市長役のJ・K・シモンズなど、TVドラマでもおなじみのスターがボイスキャストとして出演していますが、キャスティングはどうやって決めたのですか?

こういう場合、まずはその役に起用したい人の名前を書いた候補者リストを作るんだけど、今回は幸運にもすべて第一希望の人たちが一発でOKしてくれた。特に、ニック役のジェイソンとジュディ役のジニファーは、この二人以外考えられないと思っていたから良かったよ。最初の収録では、ジェイソンとジニファーに一緒にやってもらったんだけど、相性が抜群だった。そういうボイスキャストの相性も非常に大事なんだ。スクリーン上のキャラクターの関係性に反映されるからね。そして、ニックは面白くてチャーミングで一緒にいて楽しいキャラクターだけど、演じるジェイソンはまさにそんな人物だ。ジニファーも、ジュディのように楽観的で、思いっきりはじけていて元気いっぱいで純粋だ。キャラクターとぴったり合っている人を起用することがキャスティングの要だからね。

20160711_zootopia_03.jpg

――制作中の印象的なエピソードがあれば教えてください。

一番印象的だったのは、作品のリサーチのためにアフリカのケニアへ行った時のことだね。メンバーの中にネイサンというレイアウト主任がいたんだけど、なぜか彼が動物に狙われてしまってね。行く先々でありとあらゆる動物に攻撃されて、ダチョウにつつかれたり、可愛いキリンに股間を噛まれたり、チーターに背中に飛びかかられて引っ掻かれたりしたんだ。そのチーターは親に捨てられて人間に育てられたから、首輪をつけて普通にそこらへんを歩いているような、人間に慣れた存在だったんだけど、そんな動物からも攻撃されてしまったんだよね。だから、彼が何か動物を刺激するようなものを出しているんじゃないかという話になって、その後はみんなで彼のことを「動物のエサ」と呼んでいたのが印象に残っているよ。

――大ヒットした本作の続編や番外編の可能性も含め、今後挑戦したいプロジェクトは?

これだけ多くの人々に受け入れられたことは嬉しいし、続編や番外編を望む声が大きければ、僕やリッチ、(製作者の)クラーク・スペンサーといった作り手はみんな、ぜひまたこの世界を描きたいと思っているよ。ただ、映画だとお金がかかりすぎるから、TVのアニメシリーズとして制作するのがいいかもしれないね。警察署の受付担当であるチーターのクロウハウザーを主人公にしたスピンオフなんかをやったら楽しいだろうなって、個人的には盛り上がったりしているんだ。

20160711_zootopia_04.jpg

ファンタジー・アドベンチャー『ズートピア』は、8月10日(水)より先行デジタル配信、8月24日(水)にMovieNEX(4,000円+税)発売、ブルーレイ/DVDレンタル開始。

Photo:バイロン・ハワード監督 (C) 2016 Disney
『ズートピア』 (C) 2016 Disney