先日、Amazon Prime Videoで配信開始となるや瞬く間に人気を獲得した、ソン・ジュンギ主演の韓国ドラマ『財閥家の末息子~Reborn Rich~』。今回は、転生モノ×復讐劇となる本作の魅力をネタバレありでたっぷりとご紹介する。
目次
財閥に殺された青年が復讐を誓う!転生ファンタジー
財閥スニャングループの未来資産管理チームで働くユ・ヒョンウ(ソン・ジュンギ)は、副会長チン・ソンジュン(キム・ナムヒ)に裏金の回収を依頼される。目的を果たすためトルコに渡ったヒョンウを待ち受けていたのは、忠誠を尽くしてきた組織の裏切り。裏金の存在を知ったヒョンウは、何者かの指示により銃で撃たれてしまう。ヒョンウが目を覚ますとそこは1987年のソウル。スニャングループ会長チン・ヤンチョル(イ・ソンミン)の末孫チン・ドジュンとして、会長の還暦祝いに参加するところだった。
37歳で20歳を演じても違和感なし!ソン・ジュンギが1人2役を演じる
主人公ユン・ヒョンウを演じたのは、ダークヒーローを演じた『ヴィンチェンツォ』が記憶に新しいソン・ジュンギだ。貧しい家柄に生まれ苦労して生きてきたユン・ヒョンウと財閥スニャングループの末孫チン・ドジュンの2役を演じる。ヒョンウの記憶を残しながら、ドジュンとして生きる青年の繊細な表情を見事に表現した。
ソン・ジュンギといえばこれまでも、恵まれたルックスを活かし『トキメキ☆成均館スキャンダル』や『太陽の末裔 Love Under The Sun』で多くの視聴者を骨抜きにしてきた。放送当時37歳のソン・ジュンギが大学生の役を演じても全く違和感無しという、圧倒的なビジュアルはさすがの一言だ。
スニャングループに殺されたヒョンウは、スニャンの末孫ドジュンとして転生し、自分を殺した財閥家に復讐を誓う。ドジュンにとって復讐とは、スニャングループの経営権を一族から奪うこと。物語は、ドジュンが一族から経営権を奪う闘いが描かれる。復讐に燃えるシリアスな表情から、恋人である検事ミニョン(シン・ヒョンビン)に向ける甘い表情まで、多彩な表情で視聴者を楽しませてくれた。
名優イ・ソンミンの怪演!絶対的権力を持つ財閥会長を熱演
スニャングループの会長チン・ヤンチョルの存在こそ、このドラマの魅力のひとつと言っても過言ではない。ヤンチョルの圧倒的存在感は、ここ数年の韓国ドラマのキャラクターの中でも群を抜いて印象的だ。そんなヤンチョルを演じたのは、名優イ・ソンミン。
イ・ソンミンと言えば『ミセン -未生-』で演じたワーカホリックの上司を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。これまで人間味のある泥臭い庶民を演じることが多かったため、財閥の会長という役柄が最初はピンと来なかった。しかし独特な話し方、相手との間合い、仕草など、どこを取っても一世代でグループを築き上げた財閥会長がピタリとハマっていた。
物語序盤、ヤンチョルはドジュンにとって敵として立ちはだかる。可愛がってきた孫がス二ャンを買収しようとしていることを知った際のヤンチョルの怒りと落胆は見物だ。
面白いのは二人が敵で終わらない点だ。てっきりヤンチョルが「ラスボス」としてドジュンと激しい攻防を行うのかと思っていた。しかしいつしか二人は共闘といえる関係性を築いていく。
スニャングループを本当に発展させてくれる人に後を継いで欲しいと考えるヤンチョルは、長男がグループを継ぐという決まりを撤廃。ビジネスの才覚があるドジュンにスニャングループを譲ろうとするのだ。序盤は他人を寄せ付けない独裁者だったヤンチョルが、いつの間にかドジュンの理解者となっていくこの展開は、視聴者の心をグッと熱くした。
過去の記憶を活かし財閥でのし上がる姿が爽快
さらにドジュンが、ミラクルインベストメントという投資会社の経営者として、外からスニャンを買おうとする点にこのドラマの面白さがある。ドロドロとした財閥家の相続争いではなく、投資会社による買収という手法で成功を掴んでいく展開は、復讐劇としてだけではなくビジネスドラマとしても見応えがあった。
本作には、1997年のIMF危機など実際の出来事が盛り込まれている。激動の時代を、ヒョンウとして生きていた時の記憶を活かして切り抜けていくドジュン。アメリカ同時多発テロによる株の暴落を予測したり、日韓共催ワールドカップの勝利を予測しヤンチョルの夢だったスニャン車のプロモーションを成功させたり、ヤンチョルの息子たちを出し抜いていく姿は見ていて気持ちが良い。
記憶というアドバンテージに加えて、ドジュンは強い信念と機転の良さを持つ。彼を陥れようとするヤンチョルの息子たちの企みに対し、常に数歩先を行くドジュンの戦略は見ていて爽快だ。
終盤はどんでん返しの嵐!ドジュンの復讐は成功なるか?
こうしてスニャングループの経営権を手に入れる直前まで来たドジュンだったが、最後に想定外の展開が待ち受けていた。それは死だ。ドジュンがスニャンの経営権を獲得しハッピーエンドかと思いきや、復讐成功目前にしてスニャングループの誰かに殺されてしまう。再び財閥家によって命を落とすこととなったのだ。
物語の終着点が見えなくなったところで、ドジュンとして生きた記憶を持ったまま、殺されたはずのヒョンウが意識を取り戻す。銃で撃たれ海に落ちたヒョンウは一命をとりとめていた。その後ヒョンウが、ドジュンの死をヤンチョルの息子ヨンギ(ヨン・ジェムン)が、ヒョンウの殺人未遂をソンジュンが企てたことを聴聞会で暴き、一族の信頼は失墜。経営権をはく奪させ、復讐を遂げた。
ドジュンが復讐を成功させる姿も見たかったが、ヒョンウ自身が復讐を成し遂げたことへの満足度は高い。ドジュンとして転生した世界でも苦しい生活を送っていたヒョンウに対して、「ドジュンが成功しても結局ヒョンウは報われない」というもやもやを視聴者は抱えていたはずだ。ヒョンウ自身が復讐を遂げたことで、もやもやを残すことなくすっきりとラストを迎えることができた。消化不良のまま最終回を迎えるドラマは意外と多い。良い意味で視聴者の予想を裏切る本作のラストは、最後まで見応え十分だった。
(文/よしはらゆう)
『財閥家の末息子』配信情報
韓国ドラマ『財閥家の末息子~Reborn Rich~』は、現在Lemino、U-NEXT、Hulu、Amazon Prime Videoなどで配信中。
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