韓国ドラマ

不運な男が幽霊の力で労働問題と闘う『労務士ノ・ムジン』の魅力とは

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労務士ノ・ムジン

ⓒ2025 MBC

ある日突然、自分が不当に働かされる事態が起こるかもしれない。『労務士ノ・ムジン』はタイトルの通り、そんな困った状況を正してくれる労務士のノ・ムジン(チョン・ギョンホ)が主人公の物語だ。今回は、そんな本作の魅力を紹介する。

不運続きの主人公が労務士になるまで

彼は熱望して労務士になったわけではない。「幸せじゃない」と会社を辞め、仮想通貨に手を出したものの大失敗。そんな彼を見かねた会社の元上司から、労務士の試験に合格したら人事課に推薦すると言われ、手に職があれば役に立つだろうと仕方なく労務士への道を選択したのだ。

退職金も使い果たして妻とは別居するようなだらしない性格だが、奥底に秘めた根性で、なんとムジンは本当に労務士になった。しかし最悪な事態はまだまだ続く。労務士になった時には、その元上司は既に会社を退職していたのだった。そうして就職先を失ったムジンは、開業して起死回生を狙うことに……。

賑やかな仲間たちが支える開業物語

そんな彼を支える、賑やかな仲間たちがこの物語には欠かせない。労務士として開業して、最初の社員となったのは別居中の妻の妹・ヒジュ(ソル・イナ)。姉と同じく小言が多いが、楽観的でムジンに仕事が来るように全力で知恵を絞ってくれるキャラクターだ。頼りないムジンの優しさもよく知っている。ヒジュはどうすれば顧客を増やせるかを考え、動画クリエイターのギョヌ(チャ・ハギョン)と手を組もうと思いつく。いい加減な労働環境のまま、労働者の弱みを握って働かせる会社に乗り込み、実態を暴こうという魂胆だった。それぞれ欠点を補い合いながら、ちょっぴり過激な方法で問題に立ち向かう、この3人のバランスが本作の軸となっている。

労務士ノ・ムジン

ⓒ2025 MBC

しかしなんとも、ムジンは運の悪い男だ。やってやるぞ! と勢いづいていたものの、その直後に事故に遭って死にかけてしまう……。そして気が付くと知らない場所にいて、生かす代わりに無念の死を遂げた勤勉な労働者たちの怨念を成仏させてほしい、と菩薩(タン・ジュンサン)に言われるのだ。生きるために仕方なくその契約を交わしたムジンは、目を覚ますと幽霊が見えるように。彼らの無念を晴らすことが“労務士”ムジンの使命となった。

工場、大学、病院…表沙汰にならない労働問題の実態

彼はお金のために労務士になったようなものだが、様々な労働環境を目にしていくうちに、心境を大きく変化させていく。無念の死を迎えた人間たちは、事故が起きても救急車を呼んでもらえない工場や、清掃員たちに定期テストを課して苦しめる大学、さらにはパワハラの連鎖が起きる病院で働いていた。問題があるにもかかわらず、表沙汰にならないのには理由が隠れている。それらの問題に立ち向かい、幽霊や残された人々の心の声に向き合ったことで、ムジンの弱々しかった表情は優しく力強くなっていった。自分のお金のためだけではなく人のために動き、その行為が自分の人生をも大きく動かす。彼を導いた菩薩は、そこまで見据えていたのだろう。

労務士ノ・ムジン

ⓒ2025 MBC

また、ムジンのように人並みの経験や知識がある大人にとって、会社を辞めて労務士になること、つまり今までいた環境から脱して新たに何かを始めるということはとても勇気がいることではないだろうか。それでもやってのけてしまうポテンシャルが彼にはある。運が悪くどうしようもない性格でも、結果的にその行動力が明るい人生へと彼を導くことになった。何歳になっても新しいことをするのは、停滞しがちな人生に必要不可欠だということも教えてくれたように感じた。

家族との間にあったわだかまりも解消したムジンは、幸せに働く術を提案する“労務士”として、真の新たな道を歩み始めている。今懸命に働いている人々にとって、労務士は盾のような存在であることは間違いない。この物語が、自分の働き方を見直し、社会的な労働環境の問題を知るきっかけにもなるはずだ。

(文/伊藤万弥乃)

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  • この記事を書いた人

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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