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SPECIAL 特集

目指せ、追い越せ、ハリウッド★スター LAに行った日本人俳優たちの現在(いま)!

演技と自分自身のはざまに、一時は迷いも-俳優 竹内ゆたか

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幼いころから野球が大好きだった竹内少年は、近所でも有名な存在だった。やがてプロを目指すようになるが、それをあきらめなければならないとわかったとき、何をするともなく日々を過ごすようになった。そんなとき、テレビで見たとある授賞式で「映画のセットで楽しい思いをして、こんな賞までもらえて最高!」と語るウィル・スミスを見た。当時、“楽しいことばかり”追っていた竹内にとって、スミスは究極のあこがれに思えたに違いない。しかし、ハリウッドにやって来たものの、踏み入れた道は、イバラよりも厳しく、「知ってたら来なかった」。演技する自分と、元の自分との区別がつかなくなり、自分を失ったこともあった。俳優という職業独特の“厳しさ”を身を持って体験したのだ。

何も知らずに飛び込んだハリウッド

のちに厳しい体験を経験する竹内だが、ハリウッド俳優としてのスタートは上々だった。

「アクティングのクラスを受け始めて、1カ月くらいで、初めての仕事をしました。それが『ラストサムライ』だったんです。 演技の“え”も学んでないんですよ。現場でもいっぱいいっぱいで、何をしていいかわからない。その状態でキャストされました」。

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竹内は、剣の達人役の真田広之に向かって『サムライの時代は終わった』と侮辱、首を斬られてしまう役だった。1カ月前までは「一映画ファン」だった竹内が、エドワード・ズウィック監督、プロデューサーのスティーブン・スピルバーグ、主演のトム・クルーズが見守る中、演じなければならなかったのだ。

「ヤバイ」…竹内は、とても正直な人らしい。 たとえるなら、竹内は、その頃、まだ“赤ちゃん”俳優。この映画の後、深く考えるようになったのは「映画は世界中にエクスポーズ(公開)されるということ。それなりに俳優経験のある方なら、そんなこと当たり前のことですけど。僕はそれまで、地元の小さな田舎で、焼鳥屋の息子として生まれた(普通の)男の子だった。それが『もっと、ちゃんとしなきゃ』と考え始めました」。

順調にスタートしたキャリアだが、大きな落とし穴が待っていた。初めて経験することばかりの演技の世界、“赤ちゃん”には刺激が強すぎたのだろうか?

「知らないうちに24時間使っていましたよね。だから僕は“危険な人”でした。現実じゃないキャクターの人生・世界があるわけじゃないですか。(それと)僕自身の生活がある。その境目をぎりぎりまでプッシュして…。どこが境界線かわからないときがありましたよね。人を殺す役じゃなかったんで、もちろん大丈夫でしたけれど」。

こう話す竹内の目は笑っていない。演技にはまっていたということか? と聞いてみるが、それも違うという。はまっていることすらわからない状態だったのだ。

「(俳優は)みんな一回は経験すると思っています。だから誰しもが通った道なんだと思って。でも危ないですよね」。

演技に追い込まれて見つけたものは

今年初め、ハリウッドで活躍中の若手俳優が亡くなった。俳優たちの間には、役にはまりすぎたのでは、というウワサが流れているという。

「ジャック・ニコルソンが昔、彼と同じジョーカーを演じて、同じ睡眠薬を飲んでいたらしいですよ。だから、気をつけろよと注意していたらしんです。ジョーカーというキャラクターがどれだけすごいのか、僕、わからないですけど…。ジャック・ニコルソンは毎晩2時間くらいしか眠れなかったみたいですね」。

一時は引きこもりのような状態にもなった。

「自分でエッジまで行って、どうしようもなくなったときに、自己啓発セミナーとか、宗教的なものとか、結構顔出したんですよ。でもどこまで行ってもやっぱり入りきれなかったんですよね。自分の中で『これは違う』と。もうまともに話もできなかったんです。通じ合ってない、話しても。それで最終的に行き着いたのが、今行っているアクティングのクラスです」。

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いつも自分を導いてくれるコーチがいてくればと思っていた竹内、誰かいいコーチを紹介してくれと周りに声をかけていた。

「『プリズン・ブレイク』のピーター・ストーメアに紹介していただいたんです。『PB』で主役の坊主の子(ウェントワース・ミラー)、彼も同じクラスを取っていました。今はね、ちょうど僕が行ったときに、クリスティーナ・アップルゲートも取っていて…。今度『ドラゴンボールZ』の悟空を演じるジャスティン(・チャットウィン)というカナダ人、彼も同じクラスだったんですよ。その人たちも取り続けていることがすごいですよね。だってクラスって、そこまで行ってたら『別に…』というのがありそうですけど。僕らみたいなアクターからしたら、そういう人たちがいたから、一緒にやったりすれば(気持ちも)上げてもらえるわけじゃないですか」。

今では、現実の生活で、ちゃんと地に足をつけておこうと思うようになった。「救われた」と今も通うそのクラスのコーチ夫妻には感謝する。

「とんでもなく混乱していたときに、上手に導いてくれた。引っ張ってくれたんじゃなくて、ガンバレ、ガンバレと押してくれた。そんな感じのコーチ」。


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