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海外ドラマNAVI 独占取材!タムリン・トミタ、尾崎英二郎 スペシャル対談

運命的な『HEROES』の共演。二人が語る、制作の裏側!

人気ドラマ『HEROES/ヒーローズ』での二人の関係は?

タムリン:そうね。ここで読者の皆さんにトリビアを紹介するわ。『HEROES/ヒーローズ』では私はエイジロウと結婚しているという設定なの。

尾崎:そうなんだよね!間接的だけど(笑)

タムリン: 『HEROES/ヒーローズ』シーズン3は日本では放送されている?

尾崎:うん、すでに放送済み。
僕はシーズン2に出演していたんです。ヒロ・ナカムラの父親役として。カイト・ナカムラという役名でした。彼女はシーズン3と4で、ヒロの母親役、イシ・ナカムラ役として出演したんです。だから2人で大興奮だったんですよ。

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タムリン:“共演できる”と喜んでいたのよね。なぜなら私はヒロの母親の若い頃の役だから、ジョージ・タケイ演じる父親の若い頃の役と共演できるはずだからね。でも違ったのよね。

尾崎:ある日彼女がこう言ってきたんですよ。「あなたの妻よ!」って。

タムリン:そうだったわね。面白かったわ。

尾崎:僕は同じシーンに出演できると思っていたんだ。せめて同じ写真に写るとかね。でも実現しなかった。

タムリン:ストーリーの中でそれぞれの役が誰なのか繋がりやすいんだけどね。

尾崎:ところで 人気シリーズ『HEROES/ヒーローズ』に出演した感想は? 日本にはもの凄い数のファンがいるんだ。

タムリン:それは嬉しいことね。 『HEROES/ヒーローズ』は特別なシリーズだったわ。キャストの数も膨大だし、ストーリーラインもいくつも絡み合っているでしょ。2~3エピソードを同時に撮影しなければいけなかったの。例えばエピソード4と5と6を平行して撮っているのよ。出演者が同じ場合は特にね。衣装を変えて、シーンについて説明すればいいだけだから。例えば同じバーをセットとして使う場合は、衣装を着替えて、別のエピソードも撮れるでしょ。3エピソード分のクルーのエネルギーが集約しているから、すごかったわ。ある時、3組のクルーがセットにいたの。みんなスペースを確保するのに必死で、大変だったわ。

尾崎:アメリカのテレビドラマシリーズのすばらしい点は、1シーンや2シーン撮るだけでもかなり時間をかけるということ。すごく贅沢だと思う。日本ではおそらく不可能。僕が若きカイト・ナカムラを演じた時は、2つのシーンしかなかったんだ。1つは廊下、もう1つは部屋の中だった。スケジュール上では1日で撮り終える予定だった。でもすべて撮り終えることができなくて、2日間に分けられた。たったの2シーンで2日間もかけるなんて驚いたよ。

タムリン:そのシーンが放送されるのは1~2分。凄いことよね。

尾崎:そんなに時間をかけるとはね。身体は疲れなかったけど、非常に感心して、興奮したのを覚えている。現場に2日間行けて、撮影経験が2倍になったんだからラッキーだったよ。

タムリン:その間、たくさん学んでいるしね。

尾崎:実に勉強になった。

タムリン:最近はテレビドラマの撮影は、まるで映画のように撮るケースもあるわね。特に人気があったり、製作費が多くかけられているドラマだと、高い質を求めているからそれだけ時間をかけるのよ。でも撮影時間が長くなってしまうわ。1分のシーンを撮影するのに1日もかかるから。
見ている視聴者には理解し難いと思うけど、他の人が仕事をしている間、私たちはただ待つだけなのが大変ね。カメラマンや照明担当、電気技師、ヘアメイクなど、制作に人々が大勢関わっているからね。

尾崎:タムリンはたくさんのテレビシリーズに出ているよね。日本のファンにいくつか紹介すると…。『HEROES/ヒーローズ』以外にも、『24 —TWENTY FOUR—』、『メンタリスト』、『LAW & ORDER』などに出演している。すべてのドラマに出ているんだ。その中で、最も気に入っているキャラクター、もしくは最も気に入っているドラマはある?女優として、そして視聴者としても。

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タムリン:そうね。たぶん答えは視聴者の人気度が表していると思う。『HEROES/ヒーローズ』は、日本人になる必要があったから特別な役だったわ。日本語を話さなければいけなかったから、 “こう言うべきかな? いやこう言うべきかもしれない”って、現場の日本語監修者やエイジロウの意見を参考に、彼女は息子に向かってどのような日本語を話すだろうって、セリフの言い回しを考えてたわ。でも同時に“自分の思うイメージを失わないように。妥協しちゃいけない”って心掛けた。正しい日本語をまず書き出して、それから発音の練習をして、“もう大変”って感じだった。私の日本語のアクセントがアメリカ人っぽいからね。だから何度も練習をして、途切れずに話せるようにしたの。途中で切らずに、スムーズに話せるように。
あなたの英語と同じよ。やっとあなたの気持ちが分かった。あなたの指導も厳しかったわね。「ここは間を空けないで。ひと呼吸で言ったほうがいい」って。すごく面白かった。あなたの生徒になって日本語を学ぶことで、逆の立場を経験することができたのは、興味深かったわ。
どの役が最も気に入っているかという質問だけど、やはりSFドラマの役ね。SFではロジックがないからよ。“そんなのあり得ない”と思ってもSFだから許されてしまうの。何でも起こり得る。それがSFや魔法の力ね。“なぜ死んで、生き返れるの? 死んだことを忘れてしまっているの?”とか。そういう疑問は演じる上でとても役に立つわ。人間としてそんな経験はしたことがないし、前例がないからよ。人が生き返ったら、楽しいのか、嬉しいのか、殺された苦しみをまだ感じるのかって。そういう世界に入っていくのは楽しいわね。だからSFものが一番好きよ。頭をつかう必要があるから。“面白いわね”って。意識は変わっていないのか、気持ちは同じなのか、価値観や愛情も同じなのかって考えるのはとても楽しい。

尾崎:なるほどね。君タムリンはいろんな役を演じてきたけど、僕にとってSFは非常に大変なんだ。セリフが難しいからね。でも法廷ドラマや医療ドラマは… (※タムリンは『LAW&ORDER:Los Angeles』で検死官ミワコ・ニシザワを演じている)  

タムリン:そうよね

尾崎:専門用語が難しくて。

タムリン:ラテン語を勉強しないと。

尾崎:本当に? ラテン語を? なるほど、そうか。

タムリン:医療の専門用語の多くがラテン語からきているからよ。

尾崎:どうやってこなすの? いったい、どうやって覚えてるの?

タムリン:本当に違う言語みたいね。ラテン語は多くの英単語の元だけど、気負わず覚えるしかないわ。セリフに聞いたこともない病名が書いてあっても、一体何のこと?って思うけど、気負わないことが大切。一単語ずつ必死に覚えないことね。

尾崎:なるほど。

タムリン:結局、重要なのは態度だと思うの。医療について何でも知っている、法律について何でも知っているという堂々とした態度が大切なの。日本語のなまりがあって、少し発音が異なっていても、視聴者は気にしないわ。“彼は医者だもの”って。だから心配する必要はないわ。

日本人俳優に必要な資質とは…

尾崎:言語に関してだけど、僕は役を演じる時、まだまだ本当に英語で苦労している。拠点をLAに移してから3年半経つけれど、どんなオーディションでも、どんな仕事でもセリフをスムーズかつクリアに言うのは並大抵じゃない。言語だけでなく演技に関してもだけど、僕みたいにアメリカに来て活動してみたいと思っている日本人俳優たちに何かアドバイスはある? 何かコメントがあれば?

タムリン:あなたに話したことと同じことを話すわね。
アメリカに来て働きたい人は、英語は必須だわ。これだけは何も言い訳がきかない。私に指導者になって欲しいのであれば、私が思ったことを遠慮なく言えるレベルの相手になっている必要があるわ。理解できない人の為に、わざわざゆっくりと話してはいられないもの。他のキャストだって、30秒で言えちゃうことを5分かけて言われたら嫌でしょ。でもあなたの場合は、それはないと確信を持てたの。なぜあなたを応援する気になったか、それが第一の理由ね。
二つ目は、あなたは心の中で自分の夢を明確に描いていたからよ。それはアメリカの視聴者に本当の日本人の男性像を見せること。でも日本人俳優にとって、そのチャンスは非常に限られているの。だからトム・クルーズの『ラスト・サムライ』の話を耳にした時、“このオーディションのチャンスをつかまなきゃ!”と私はあなたに言ったの。“行け!”って本気で言ったと思うわ。エイジロウも“よし、行ってくる!”っていう勢いがあったのよね。重要なチャンスだと分かっていたから、まったく気後れせずに、米日のキャスティング担当者たちに「オーディションを受けたいんですけど」って電話したのよね。「英語でコミュニケーションできるし、刀術の技術も身についてるから」って。
そのような準備、そのような努力が大切なの。だってもの凄くハンサムってわけでもないでしょ(笑)。男前だけど、“ブラッド・ピット”じゃないんだし。役作りをして、中身を見て、感じてもらわないといけないからね。
それが何よりも重要。たまにそこが分かってもらえない時があるけどね。男性たちがアンジェリーナ・ジョリーに憧れるのも同じ。確かに彼女は美人よ。でも作品に心を込められるから魅力的なの。だからアメリカのテレビや映画業界で働きたいと思う人はそこを大事にしないとダメ。確かにルックスのいい俳優はいるわ。でも演技は2セントの価値もない人もいる。ルックスのおかげで仕事はくるけど、他の俳優たちほど長いキャリアは築けないはず。美しい人はルックスに自信を持ってないといけないけど、いずれ歳をとるわ。私たちは心の方なら成長していける。顔はどんどん歳とっていくけど、大切なのは気持ちや心よ。見ている人々に伝わるのもそれだと思う。

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尾崎:そうだね。日本人俳優について話してきたけど、この業界のアジア系俳優にとって、僕たちがチャンレンジすること、乗り越えるべき壁は何だと思う?

タムリン:俳優として?
すべてにおいて万能な人間になることね。自分がどう反応するか分からないような状況に身を置いてみるの。危険な状況や、ドキドキするような状況に陥っても、その時感じたことを忘れないように。
演技の最高の指南書はあなたの人生なのよ。人を撃つ感覚が分からなくても、射撃場に行って銃の感触を手で確かめないと。セットで使う銃がたとえ大きくても、人を撃つということを理解しないとダメだわ。射撃場では、撃つのは紙に書かれた人だけどね。そして撃たれるという感覚、襲われるという感覚も知っておくべきだわ。それらはすべて人間の基本的な反応だけど、すべてそこから派生していくのよ。だから何でも受け入れて、自分に素直でいて、間違いを犯すことを恐れないことね。
いつも言ってきたでしょ。間違いを恐れない、質問することを躊躇しないこと。常に学ぶ姿勢でいるべきだからよ。人生は一度きりだけど、すべてを学ぶということは無理なの。だからとにかく何でも吸収する姿勢でいるべきだわ。躊躇したらダメ。挑戦しないと。

尾崎:素晴らしい。ずっとこういう話が披露できる機会があったらいいと思ってた。このインタビューは日本で多くの人に刺激を与えると思う。俳優だけじゃない。誰にでも…

タムリン:夢を持っている人なら誰でもね。

尾崎:そうだね。みんなだよ。特に今、この時期、日本の人々はポジティブな何かを求めている。前に進むために夢を持ちたいと思う。希望の光が必要。国を復興させるためにもね。

タムリン:経済的にもね。

日本の、海外ドラマファンの皆さんへ

尾崎:日本のファンに何かメッセージはある?タムリンのファンやドラマのファン、そして日本を復興させるために頑張っている人々に。

タムリン:日系人だけでなくLAやアメリカの人々がよく使っている言葉があるの。「がんばろう日本」、もしくは「頑張って」、「頑張れ」よ。それを訳すのは難しいのよね。それとまったく同じ意味の英語がないか。でもその意味合いは分かるわ。
東日本大震災で助かった人々に向けては、心の奥底で「頑張ろう」や「頑張れ」や「頑張って」と思っているわ。でもアメリカは不況や政治問題と戦っていて、イランやイラクでの戦争も続いているし、まだ争いごとが続いているのよね。心の平和を手に入れないと、それを誰かに引き継げないし、その人は次の人に引き継げないし…。時間のかかるプロセスだけど、忍耐強さが必要よ。先に光はあるんだもの。目に見えなくても、心の中でその光を感じ取らなければいけない。
シンプルなことだけど、行うのは難しいはず。なぜなら家族や親や子供たちの世話で日々忙しいからよ。自分自身に愛や平和を与えないと、他の人に分けてあげられない。“私はベストな状態を保っている”と言えるようにならなきゃダメだわ。そして初めて自分の中から溢れ出たものを、他の人や社会、街や国と分かち合えるの。穏やかなエネルギーをお互いに与え合い、途切れないように循環させているの。がんばれ!

尾崎:どうもありがとう。本当にありがとう!



日本が誇る女優 中村佐恵美が語るハリウッド


Photo:タムリン・トミタ

タムリン・トミタ

1966年1月27日、日本の沖縄生まれ。

アジア系女優の中で、もっとも数多くのドラマに出演しているだろう。『刑事ナッシュ・ブリッジス』『スターゲイト』『24‐TWENTY FOUR‐』『ユーリカ~事件です!カーター保安官』と日本でもお馴染みのドラマタイトルに次々とゲスト出演を果たしている。最近では、『HEROES/ヒーローズ』のシーズン3でヒロ・ナカムラの母親役を演じていたのが記憶に新しい方も多いことだろう。

デビューは1986年の映画『ベスト・キッド2』。沖縄に住む可憐な少女を演じて話題となった。1990年に映画『愛と哀しみの旅路』、1993年には映画『ジョイ・ラック・クラブ』などで注目を集めた。

『海外ドラマスターを追え! タムリン・トミタ (Tamlyn Tomita)』


Photo:尾崎英二郎

尾崎英二郎

リアリズムを追求する米国の演技手法を日本で学び、NHK『あぐり』でTVデビュー。99年のNYオフ・ブロードウェイ公演『ザ・ウインズ・オブ・ゴッド』で現地メディア批評家に演技を称賛され、その後アメリカの映画/TV業界を目指す。03年、侍のアクションメンバーとして出演した『ラストサムライ』をきっかけに人脈を広げた。

06年に主要キャストとして日本から抜擢された『硫黄島からの手紙』でハリウッドへの扉をこじ開け、ついに念願の本格渡米を実現。

初めての米TVシリーズ出演となった『HEROES/ヒーローズ』など自らの体験をもとに、ハリウッドのシステムの凄みを伝える。

★2012年放送の米FOXとTBSの新作ドラマに出演決定!!

★米日の映画/ドラマの現場で築いたキャリアをもとに、人生の闘い方を綴ったメールマガジン『ハリウッドで俳優として生きる/夢を掴むプロセス』好評配信中。撮影記録や制作舞台裏エピソードも豊富に収録!


Photo credit:
  • (c)2008/2009 Universal Studios. All Rights Reserved.
『HEROES』

『HEROES』全シーズンブルーレイBOX 12月21日発売!
発売・販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

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