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ハリウッドで活躍する“アジア系”俳優を追え!

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海外ドラマNAVI 独占取材!タムリン・トミタ、尾崎英二郎 スペシャル対談

出会い、共演、信頼 タムリン・トミタと尾崎英二郎

タムリン・トミタ、米国業界の大切な先輩

尾崎:彼女を一言でご紹介するのは簡単ではないんですよ。アメリカ国内のアジア人たちにとってとても大切な存在であり、そして僕にとっては俳優として偉大な先輩であり…。

タムリン:そう、歳とってるからね(笑)。

尾崎:さらに姉のような親しい存在であり、そして僕にいろいろ教えてくれたある意味、非常に厳しい母親的存在でもあるんです。2002年だったよね? ブラジルで一緒に映画 (『GAIJIN – LOVE ME AS I AM』) を撮ったんです。ブラジルに移住した日本人のストーリーでした。僕たちは、いとこ同士という設定だったよね? 彼女はブラジルに渡ったおばあちゃんの孫で、僕の役は…

タムリン:日本に残った兄弟の孫よね。

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尾崎:日本の九州にある本家の後継ぎ。タムリンが日本にいる親戚に会いに来るシーンがあって、そのシーンで僕たちは出会うんです。彼女と同じシーンがあって、本当に幸運でした。製作準備段階までは彼女が出てくれるのかは判らなかったんです。プロデューサーと監督たちはタムリンの出演を熱望していたみたいだけど、日本では皆「タムリン・トミタはスターだから引き受けないでしょう!?」と言ってた。この作品は当時ブラジル映画としては大型スケールの作品だったけど、アメリカの標準としては低予算枠。それでも参加してくれたんですよ。それで僕たちは出会うことができたんです。
彼女はアジア系アメリカ人の象徴的な存在だし、2002年以降も僕にとって最高の指導者になってくれたんです。

タムリン:もう、10年近く経つのね。

尾崎:きっと、この関係はずっと続くね。そんな感じ!紹介が長くなっちゃったけど(笑)。

タムリン:英二郎とは、最初に飛行機の中で会ったのよね。LAからサンパウロで飛行機を乗り換えて、一緒に『GAIJIN』を撮りにロケ地に飛んだときね。
ずいぶん前だから記憶が薄れてるけど、エイジロウが私に会って喜んでたのを覚えてる。私が「こんにちは!元気?」と言ったら、「初めまして」と頭を下げたのよ。緊張して、堅苦しくてね、面白かったわ(笑)。エイジロウが私に対してどんな敬意を持ってくれているか話してくれたから、私は「ただの俳優同士じゃない、いとこ同士の役でしょ」って言ったのよね。
エイジロウは、ハリウッドのエンターテイメント業界にチャンレンジすると決めた時以来、私にアドバイスを求めてきたんです。プライベートな相談も、仕事の相談も乗りました。個人的なことはここでは話せないけどね。だからずっと彼の姉のような、メンターのような存在だったし、母親のように注意もしてきたんです。「アメリカの男性ならこうするわよ」とか「男性ならどこの国でもこうするべきだわ」とかね。
エイジロウがこの業界で成長していく姿を間近で見るのは、非常に光栄だし、誇らしいことだわ。彼は、俳優としてだけでなく、人として、日本とアメリカのかけ橋になろうとしているんです。東京とハリウッドの業界同士に道を拓くと言うか、“導く”が適切な言葉ね。両者を導こうとしているの。それは非常に誇りに思っているわ。
こんな話をしていると泣いちゃいそうだけど(涙)。
厳しいことも言ってきた。私って、日本流もしくは日系流なんだと思う。でも褒めることも常に心がけてきた。それはアメリカ流よ。“とても頑張っているわね。凄く素晴らしいわ”って。でも今までもこれからもいい関係を築けているわ。

尾崎:ありがとう、タムリン。ね? こんな風に素敵な人なんですよ、彼女って。

タムリン:巧く演じてるだけよ(笑)。

尾崎:彼女は本当に素晴らしくて、誰に対してもこんなに気さくに接してくれるんです。いつも親切だし、心を開いてくれてフレンドリー。タムリンについては、一言では表現できないです。

(タムリンに)今回の対談は『海外ドラマNAVI』のためなんだ。
今、アメリカのドラマシリーズは日本で大人気なんだよ。

タムリン:それは嬉しいニュースね。素晴らしいわ。

尾崎:僕は今日調べて知ったんだけど、タムリンのIMDB(インターネット・ムービー・データ・ベース)に何作品のドラマのタイトルが載っているか知っている?

タムリン:知らないわ。

尾崎:61作品。

タムリン:本当に? 凄いわね。

尾崎:凄いよ。61タイトル(テレビシリーズ)載っているんだ。映画は別でだよ。映画だけでも30作品以上ある。

タムリン:そんなにあるのね。私の実績も悪くないわね。まあまあだわ(笑)。

尾崎:いや、本当に圧倒される。ハリウッドで大成功を収めてきた日系アメリカ人の俳優は、あまり多くない。80年代から活躍して、君臨している日系アメリカ人としては、あなたはトップレベル。非常に稀なことだよ。

米国ショウビズ界、人種の扱いは変わったのか?

尾崎: タムリンから見た、ハリウッドの業界の印象について語ってくれる? いろいろと変化があったと思うんだけど。80年代、90年代、2000年代もあなたは見て来ているから…

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タムリン:あぁ、私、歳とったわ(笑)。
その期間、かなり変わったし、変化は常に続いているわ。今アメリカのテレビ番組は脚本のあるドラマが復活しつつある。この4~5年はリアリティ番組が大ヒットしていたの。一般人を集めてきて、コンテストに出場させたりするね。
でも今では、いい脚本家によって良質のドラマやコメディが書かれる時代に戻りつつある。出演陣もカラフルなパレットみたいよ。つまり欧米系、アフリカ系アメリカ人、アジア系、ラテン系、中東系が集まっているの。アメリカの現状を象徴しているわね。決して欧米系だけじゃなくなった。 変わり始めたのは90年代ね。白人ではない俳優たちを多く見かけるようになったの。特に私のような日系人のね。
それがアメリカ人である上でプラスアルファになっていたのよ。 エスニック(様々な人種)な血が流れていると、“枠”というか飛び出していける“土俵”が別に存在するのよ。日系で、日本食を食べて、日本語を少し話せて、日本文化が理解できるからね。特に各テレビネットワークも、それがアメリカの現状だというようにとらえているわ。あらゆる人種が混ざっていると。
テレビ番組が欧米系によって独占されていた時代は80年代に終焉を迎えたわ。エスニックの俳優が出ていても、役柄がステレオタイプだった。例えばアジア系俳優なら、日中からサングラスをかけているような、ギャング役だったりね。ヤクザっぽい車を運転して、腕には入れ墨が入ってて、爪が長くて、趣味の悪いスーツを着ていたり。女性の場合は、“はい、どうぞ”と言い寄って、表向きにはウェイトレスだけど、陰で悪いことをしていたりね。
この20年間でかなり変わったけど、改善する余地は常にあるわ。アメリカで製作された映画やテレビ番組が海外に渡った時、“アメリカだけの顔”というものはもはや無く、アメリカは世界を象徴しているということに気づいて欲しい。日本人とフィリピン人の血を引く身としては、そう言えて本当に嬉しいわ。みんな私に完璧な英語を求める、日本語に関しては酷いけど(笑)、日系アメリカ人俳優として最大限の力を発揮できるように努力はできるわ。でも決して日本人俳優として売り出そうとは思っていないの。日本舞踊をしたりね。それは私の領域ではないと分かっている。

尾崎:なるほど。

映画の現場、テレビドラマの現場

尾崎:彼女は読者の皆さんがご存知の通り、80年代に『カラテキッド2』で映画デビューを果たしました。日本では『ベスト・キッド』として知られています。非常に有名な作品。その後、『ジョイ・ラック・クラブ』や『フォー・ルームス』など映画界でスター街道を走っています。

尾崎:80年代にもテレビシリーズには出演していたの?それとも90年代に入ってから増えたの?

タムリン:簡単に説明すると…。映画の方がこなせる数は圧倒的に少ない。準備や撮影に時間がかかるから。撮影に3~4カ月かかり、編集にさらに3~4カ月かかるからね。それ以前に、脚本を書いて、プロデューサーを探して、投資してくれる人々を探すのに1~2年もしくは10年かかるから、映画の方が関わる機会が少ないのよ。多大な資金や時間が費やされているから、それだけ規模も大きくなるの。
一方テレビ番組は多岐にわたっている。だからテレビ番組の方が出るチャンスが多いし、時間も取りやすいの。 舞台はまったく違う世界で、舞台も本数は少ないわ。それにお金が悪いから、LAをベースとしている俳優は舞台をやりたがらないの。生活できないから。
テレビはそれに比べたらチャンスも多いし、出演しやすいわ。LAだけでなく、NYやバンクーバーでもね。だから俳優としてはテレビドラマの方が狙いやすいの。私も80年代から定期的にテレビシリーズに出演しているわ。

尾崎:映画とテレビシリーズを比べて、女優の視点からその違いや苦労について語ってもらえる?

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タムリン:テレビシリーズの場合、1時間番組を撮影するのに7~8日間かけるの。コメディの場合、30分番組を撮影するのに3〜5日間かけるわ。厳密に言うと、実際の映像はCMが入るから30分番組の場合は22分、1時間番組の場合は46分だけどね。
映画の場合は3~4カ月かかるから、俳優としては、役作りの下調べをする時間が十分に与えられるの。ヤクザを演じるにしても、バーやレストランの店主を演じるにしても、車の修理工を演じるにしても、それを職業としている人の元へ行って、仕事について尋ねることができる。 映画は大体90分~120分だけど、それを3カ月で割ってみて。週5日間働いて、2日休めたとして、その時間を撮影日数(1日10~12時間労働)で割ると、おおよそ1日につき1分から1分30秒分の映像を丁寧に撮り上げるということ(※アクションシーンであれば数十秒しか撮れない場合も)。それには待ち時間が多いし、忍耐力が必要になるわ。
でも映画では豪華なセットを再現するという贅沢を味わうことができる。現場に行って、そこで暮らす場合もあるしね。
それと、監督や共演者と一緒にそのキャラクターを作り上げていくことができるわ。テレビの場合は、監督に“エイジロウ、ここに座って”、“こっちに歩いてセリフを言って”とか指示されるから、共演している私との間には創造性が生まれないの。すべて8日間で撮り終えないといけないしね。時間がかなり限られている。1時間(46分番組)を8日間で割ってみて、それから120分や90分を3ヶ月(60日間)で割ってみて。映画とテレビドラマの撮影時間の差が顕著に分かるはずよ。
創造力に関しては、映画の場合はきちんと理解していないと見失ってしまう場合もあるわ。しっかり役について調べて真剣でないとね。舞台で鍛えられている俳優が映画俳優として重宝されるのは、役になり切って同じ空気を吸うことに慣れているからよ。役と同じように食べて飲んで、同じ服を着て、その生き方を吸収するの。
でもテレビの場合は、前日に出演が決まる場合もあるでしょ。明日12時に撮影と言われて、“何それ”って感じよ。衣装を着せられ、メイクをされて、“こんなひどい格好を”とたまに思うわ。テレビはそれだけ時間が限られているの。陸上競技に例えると、テレビは100メートル走で、瞬発力を求められる。映画の場合は、進行がゆっくりで、体の感覚がしっかりあるの。テレビの方がペースは速いわ。両者の性質はまったく異なるわね。LAベースの俳優は、その両方のスピードに適応できないといけない。長距離選手である必要もあるし、テレビみたいにスタート地点に立って、監督の指示を聞いて、ダッシュできる能力も必要なの。時間がないからよ。それが基本的な見方ね。

尾崎:その通りだね。それで今思い出したけど、僕は2つの米国作品から同じような事を学んだ。映画『硫黄島からの手紙』に出演したけど、クリント・イーストウッドは非常に特別な監督で、彼は俳優に自由に演技をさせることでよく知られている。創造性はすべて俳優にまかせて、好きなようにさせてくれるんだ。

タムリン:実際、彼は優しく“GO!”って言うのよね。“アクション!!”って叫ばないって。あなたが教えてくれたのよ。

尾崎:だから思うように演技して表現できたし、僕らが考えたアイデアやアドリブを加えることも許された。そしてその作品のあとにアメリカに移り住んで『HEROES/ヒーローズ』に出演したんだ。今タムリンが言った通りだったよ。スピードを求められ、“エイジロウ、もっと速く話すんだ、息継ぎをしないで! 間を置かないで”とか言われてね。

タムリン:“息継ぎをするな”はハリウッドでよく聞く言葉よ。“話す時に息をするな”って。“息継ぎしないでひと呼吸でセリフを言え。間違ってもあとで編集するから気にするな。顔だけを撮って…”って本当に撮影中は慌ただしいわよね。クレイジーよ。

尾崎:ドラマは45分という短い時間内に、なるべく多くの劇的なシーンを詰め込もうとする。だからペースが全然違うんだね。



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Photo:タムリン・トミタ

タムリン・トミタ

1966年1月27日、日本の沖縄生まれ。

アジア系女優の中で、もっとも数多くのドラマに出演しているだろう。『刑事ナッシュ・ブリッジス』『スターゲイト』『24‐TWENTY FOUR‐』『ユーリカ~事件です!カーター保安官』と日本でもお馴染みのドラマタイトルに次々とゲスト出演を果たしている。最近では、『HEROES/ヒーローズ』のシーズン3でヒロ・ナカムラの母親役を演じていたのが記憶に新しい方も多いことだろう。

デビューは1986年の映画『ベスト・キッド2』。沖縄に住む可憐な少女を演じて話題となった。1990年に映画『愛と哀しみの旅路』、1993年には映画『ジョイ・ラック・クラブ』などで注目を集めた。

『海外ドラマスターを追え! タムリン・トミタ (Tamlyn Tomita)』


Photo:尾崎英二郎

尾崎英二郎

リアリズムを追求する米国の演技手法を日本で学び、NHK『あぐり』でTVデビュー。99年のNYオフ・ブロードウェイ公演『ザ・ウインズ・オブ・ゴッド』で現地メディア批評家に演技を称賛され、その後アメリカの映画/TV業界を目指す。03年、侍のアクションメンバーとして出演した『ラストサムライ』をきっかけに人脈を広げた。

06年に主要キャストとして日本から抜擢された『硫黄島からの手紙』でハリウッドへの扉をこじ開け、ついに念願の本格渡米を実現。

初めての米TVシリーズ出演となった『HEROES/ヒーローズ』など自らの体験をもとに、ハリウッドのシステムの凄みを伝える。

★2012年放送の米FOXとTBSの新作ドラマに出演決定!!

★米日の映画/ドラマの現場で築いたキャリアをもとに、人生の闘い方を綴ったメールマガジン『ハリウッドで俳優として生きる/夢を掴むプロセス』好評配信中。撮影記録や制作舞台裏エピソードも豊富に収録!


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