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SPECIAL 特集

2010年新春対談企画! 『フラッシュフォワード』『HEROES』尾崎英二郎&Studio Life曽世海司

アメリカを拠点にドラマ・映画で活躍中の尾崎英二郎(『HEROES』他)、男優劇団「スタジオライフ」の役者として人気を集める曽世海司。海外ドラマをキーワードに気軽に新春対談を…のつもりが、演劇論や現場のこぼれ話で二人はアツ~く盛りあがりまくり! お互い初対面とは思えないほど息のぴったり合ったトークが展開されました!!


アメリカのドラマはお金をかけすぎ?

――お二人が最初に見た海外ドラマはなんですか?

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曽世:アーノルド坊やは人気者』をず~っと見ていました。当時は家族模様がおもしろかったのだけど、あとでよく考えると多彩な人種が出てきていて、それをさらにコメディにしているところがすごい。

尾崎:僕はシットコムが好きでしたね。『奥さまは魔女』とか『がんばれ!ベアーズ』を見ていたけれど、子どもたちがかわいいだけじゃなくて個性的なのがいいんですよね。

曽世:『アーノルド坊やは人気者』の決めゼリフ「冗談は顔だけにしろよ」なんて名訳! 吹替版を見ていたので、声優さんの影響も大きかったんでしょうね。

尾崎:僕が英語を本格的に勉強しようと思った学生時代、ちょうどマイケル・J・フォックスの『ファミリータイズ』が放送されていたんですね。セリフがジョークの応酬でその内容が政治ネタなど、日本の番組では扱わないものばかり。これを英語で聞いて理解できたらいいなと思って、吹替版を録画して元の音声を多重放送にしてラジカセで録音したり…。ずっとくり返したんだけれどジョークがなかなかわからなかった(笑)。

――海外ドラマってセリフのちょっとした一言はもちろん、舞台設定やキャラクターまでとても緻密に計算されていて…。見始めたころって驚くことばかりですよね。

尾崎:そう、僕が「すごい!」と思ったのは『ツイン・ピークス』。このドラマ、ドラマじゃないですもん! 映画並みですよ!! 監督はデヴィッド・リンチで、キャラクターも濃くて、映像もとても美しくて…。それまで見ていたものとはまったく違いますよね。

曽世:あれは、映画監督が大々的にドラマで総指揮をとるっていう初めての例だったんじゃないですかね。 僕が学生時代にはまったのは『V』。「ドラマなのにゼイタクだ! アメリカのSFってスゴイ!!」とワクワクしました。

尾崎:アメリカではいまABCでリメイク版を放送しているけれど、「これドラマ!?」というレベル。「1エピソードにいくらかかってんの…?」と聞きたくなっちゃいますよ(笑)。

曽世:そうそう。でも「だから打ち切りになっちゃうんじゃないの?」なんて。僕は『ダーク・エンジェル』が好きなんですが、ジェシカ・アルバというかわいい女優をSFドラマの主役に起用するセンスってすごい。当時、僕はジェシカ・アルバに対して半分恋していて、「キミはのびるよ!」なんて生意気な応援をしていたけど、本当にあっという間に大スターになっちゃいました。その一方、ドラマは打ち切りで、「お金のかけすぎなんだよ…」って言いたいですよ(笑)。

アメリカのドラマには現場の熱が感じられる

――かけるお金もケタが違うし、取り上げるテーマも深い、演じる役者も個性的。
アメリカのドラマのおもしろさっていろいろな要素がありますが、お二人から見た「ここがすごい!」を教えてもらえますか?  

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曽世:ドラマのおもしろさって現場の“熱”が伝わるかどうかが大きいんじゃないでしょうか。アメリカのドラマにはその“熱”を感じられるんです。

尾崎:アメリカのドラマは役者を先に決めて、それに合わせた脚本を作るというシステムではないんですよね。まずは練りに練った脚本ができあがる。それから、その内容に最も適している役者を探すんです。無名だろうが有名だろうが関係なくオーディションで選ぶ場合が多い。脚本を作るのにも時間かかるし、オーディションを行うのも大きな手間。でもそこを省かないのが当たり前だと思っている姿勢が、高いクオリティを生み出し続けているんじゃないかな。

曽世:やっぱり欧米は競争社会なんでしょうね。戦いながら文化を築いてきた歴史がある。ドラマにおいても同じで、キャスティングに手間ひまかけてオーディションをするのも、制作する局同士が激しく競い合うのも自然なこと。僕らのような表現の仕事をする立場としては、切磋琢磨したほうがいいものを作り出すというのは当然なんですが、アメリカのドラマはそれが当たり前にできているのかも。

――尾崎さんは『フラッシュフォワード』や『HEROES/ヒーローズ』にも出演されるなど、アメリカのドラマの現場もよくご存じですが。

尾崎:実はアメリカの現場って、とても穏やかなんですよ。日本だと監督が現場で怒鳴りながら演技指導するという場面があるかもしれませんが、アメリカではまずないですね。オーディションの演技で役者を選んでいるから、“適材適所”で役者の演技とその役柄がちゃんと結びついているんです。そこもやっぱりキャスティングの力は大きいですよね。

曽世:キャスティングディレクターの位置づけがアメリカは違いますよね。エンドロールなどのクレジットを見ると名前が必ず大きく出る。とても重要視されているってことですよね。舞台の世界でも「芝居のおもしろさはキャスティングで7~8割決まる」という言い方をしますから。

――曽世さんはアメリカのワークショップで演技指導を受けたとか。そのときに印象に残っていることを教えてください。

曽世:いわゆる“ダメ出し”はされなかったことですね。一人の役者としての個性をとても尊重してくれ、「自分が表現したいように表現するべき。あとは、それがオーディションで気に入ってもらえるかどうかだ」と。

尾崎:僕は「ダメ出し」ということばが大嫌いで、なんで「良い出し」がないのかって思うんです(笑)。日本だと当たり前のように「“ダメ”出しをお願いします!」と、俳優自らが演出家に詰め寄ったりします。でも、なんで修正点ばかりを省みようとするんでしょう? 「あの瞬間の表情、よかったよ。いい感じですよ」と一言言ってもらえることが俳優にどれほど勇気をもたらすか。

曽世:僕ら役者は子どもと同じ、ほめられてこそ!なんですよね(笑)。

日本人の男はコミカルなだけじゃない。セクシーだと思わせたい

――海外ドラマでお気に入りのヒーローやヒロインなどはいますか?

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尾崎:俳優としてというか、人間として尊敬できるヒーローは『ファミリータイズ』のマイケル・J・フォックス。アメリカでは本当に深く愛されていて、コメディのセンスが素晴らしい。背が僕より小さいくらいですが、彼は世界的なスターにまで登り詰めた。あの…、高校のときって背が高い人がモテませんでしたか?

曽世:それは…否めませんね(笑)。

尾崎:バスケットボール部、バレーボール部とか、中身とか関係ナシに背の高い男にみんな彼女いるのが悔しく思っていたことがあって、僕自身、彼の存在にすごく励まされたんです(笑)。

――マイケル・J・フォックスといえば、パーキンソン病にかかっていることを公表したことでさらに多くの人のリスペクトを集めた気がします。

尾崎:最初はパーキンソン病にかかったことを隠しながらドラマ『スピン・シティ』をプロデュースしたり、映画に出演していたりだったのですが、ついに公表したんですよね。アメリカ国民はみんな彼を身近に感じているんですが、自分の生き方を見せて何かを伝えるというお手本かもしれません。

曽世:僕は『V』のマイク・ドノバンに会いたいかな。彼ってかっこよくなかったでしょ(笑)? “地球を救うヒーロー顔”ではない。ちょっとやんちゃで、すぐUFOに乗りに行っちゃうし…。でも「かっこ悪いのに、こんな行動力と勇気があれば地球を救えるんだ!」と見ていた当時に思ったんですよ。ウィル・スミスばかりが地球を救うんじゃおもしろくないですもん。先ほどのマイケル・J・フォックスのお話のように、マイク・ドノバンにはちょっとやる気をもらいました。

――役者目線で見て、気になる演技をする人はいますか?

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曽世:『プリズン・ブレイク』のTバッグ(ロバート・ネッパー)! どんな人なんだろうと思うけれど、きっと紳士的ないい人なんじゃないですか?

――実際に取材した海外ドラマNAVIライター(幕田千宏さん)によると、“すっごくいい人!”とか。

曽世:やっぱり(笑)! ああいう演技はしっかりした幹と根っこを持ってないとできないですよ。最初のころはドラマの設定上、「こいつはすぐ死んじゃうのかな?」なんて思っていたのですが、生き残っていくのを見て、「やっぱり人気あるんだよね」とすごく納得。きっとドラマのファンからも大人気なんでしょうね。

――最近、アメリカのドラマのキャラクターとしても日本人は注目されているようですね。尾崎さんも出演した『フラッシュフォワード』は竹内結子さんがゲスト主役として出演、真田広之さんも『LOST』の新レギュラーに決まっていますが。

尾崎:日本人の役は日本人がやるべきという流れになっているのは感じます。今まで日本人の男は、アメリカのドラマ・映画においてはコミカルな存在であって、男性として魅力的に描かれていなかったんですね。でも、渡辺謙さんが“セクシー”と言われて人気が出たのはすごいこと。さらに、自分が出演した番組だから言うわけではないのですが『フラッシュフォワード』でジョン・チョーがシリアスな役柄の主役を射止めたことには大きな意味があります。しかもドラマのカギを握る重要な役どころ。この流れはアジア人の役者にとってちょっと希望が持てることですね。

曽世:日本で役者が役者として生き続けることさえ難しいのに、海外の現場で日本人が英語を使って表現しようとすることは本当に大変なこと。僕なんて日々表現に悩み続けているわけなので…。尾崎さんを心から尊敬しますね。

――それぞれ今年の抱負を教えてもらえますか?

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尾崎:ロサンゼルスで活動して二年になりますが、実は渡米前は容易には仕事がとれないことを覚悟していたし、すぐにテレビドラマに登場できるなんて思ってもいなかったんです。それが思いがけない抜擢を受けたりもしてチャンスをつかむ手ごたえを感じた。だから掴んだこの手ごたえを失わないように、もっと出演できるように頑張りたいですね。日本人視聴者にふれるような作品に出て、自分が演じるキャラクターを多くの人に楽しんでもらいたいので。

曽世:抱負を毎年考えるのですが、特に新しいものは見つからず(笑)、常に同じことを考えているんです。それは、人間力の幅で勝負すること。役者の仕事は見ている人たちに心の栄養をつけてもらうことだと思うのですが、そのためには僕自身が興味のあることを掘り下げて、人間としての幅をつけなくちゃいけないなと毎年この時期に感じています。


尾崎英二郎(おざきえいじろう)

リアリズムを追求する米国の演技手法を日本で学び、NHK『あぐり』でTVデビュー。99年のNYオフ・ブロードウェイ公演『ザ・ウインズ・オブ・ゴッド』で現地メディア批評家に演技を称賛され、その後アメリカの映画/TV業界を目指す。03年、侍のアクションメンバーとして出演した『ラストサムライ』をきっかけに人脈を広げた。06年に主要キャストとして日本から抜擢された『硫黄島からの手紙』でハリウッドへの扉をこじ開け、ついに念願の本格渡米を実現。

初めての米TVシリーズ出演となった『HEROES/ヒーローズ』など自らの体験をもとに、ハリウッドのシステムの凄みを伝える。

尾崎英二郎 オフィシャルサイト
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曽世海司(そぜかいじ)

舞台俳優。会社員を経て男性だけで構成する耽美派劇団「Studio Life」に入団。幼い頃『アーノルド坊やは人気者』に衝撃を受け、その後『V』にのぼせ、『ダークエンジェル』の打ち切りに泣き…と海外ドラマファンとして端っこ道を歩む。現在も舞台の合間に映画、海外ドラマを鑑賞する日々。

■主な出演作品:
<舞台>「トーマの心臓」「ヴェニスに死す」「桜の園」「DRACULA」「黒いチューリップ」「白夜行 第1部 第 2部」「アドルフに告ぐ」「夏の夜の夢」「十二夜」「夜の姉妹~劇場編」(リリパットアーミーⅡ)、「夜と星と風の物語~『星の王子さま』より~」
<テレビ>CX「ポリャンスキーの脳~真実のSF~」、TX「七瀬ふたたび」
<映画>「オーディション」(監督:三池崇史)、「The Other Life」(監督:赤地義洋)
<CM>日清「麺の達人」、ジョンソン・エンド・ジョンソン「ニコレット エアタバコ篇」

劇団「Studio Life」


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