今見るべき一押しドラマ!
イングリッシュマン・イン・アメリカ 英国俳優の勢いがとまらない!

【関連特集】シャーロック・ホームズ、NYに降臨! 『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』と共にお楽しみください!

■ニューヨークにやってきたシャーロック・ホームズ~ジョニー・リー・ミラーだからこそ生まれる魅力

ようやく、きた。ようやく、ジョニー・リー・ミラーという俳優にぴったりの役がきた―――
そんな感じだ。

その役こそが、シャーロック・ホームズ。ご存知、イギリスが誇る名探偵だ。
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ジョニーは、出世作『トレインスポッティング』で唯一、主要キャストの中でスコットランド出身ではないにもかかわらず、完ぺきにアクセントを操り、スコットランドのジャンキー(とショーン・コネリーのモノマネ)を演じきった強者。芸能一家に育ち、容姿も、演技力も、そしてカリスマ性も持ち合わせ、同世代のユアン・マクレガージュード・ロウよりも早くアメリカ映画界に進出し、将来を期待されていた。1996年、まだ新進女優だったアンジェリーナ・ジョリーと映画『サイバーネット』で共演し、結婚。しかし、アンジーにエネルギーを吸い取られるがごとく、キャリアはどんどん低迷。実際、結婚生活が影響したというよりも、いち早く『トレインスポッティング』のイメージから脱却したユアンに対し、役柄を引きずりすぎたというのが原因だろう。1999年の『ロンドン・ドッグス』を最後に映画でのキャリアは下降線の一途をたどっていく。

ちなみに、この年にドロドロだったアンジーとの結婚も区切りがつき、ようやく離婚。その後、ウディ・アレン作品『メリンダとメリンダ』にも出演したが、やはりかつての輝きは消えていた。

しかし、2008年についに転機が訪れる。彼は『弁護士イーライのふしぎな日常』でアメリカのTVドラマ界へ進出。そこからまたキャリアが上向き始める。さらにこの年、現在の妻でテレビ女優として活躍しているミシェル・ヒックスと結婚し、子どもにも恵まれる。まさに仕事も私生活も上向きに方向転換していく。ちなみに元妻アンジーとミシェルは同じ6月4日生まれ......なんという皮肉な偶然だろう...。

それはさておき、元々、ジョニーは実力のある俳優なので、あとはカリスマ性を取り戻すだけだった。そしてカリスマ性のカタマリみたいな役と言えば、シャーロック・ホームズだ。まさしく待ちに待ったチャンス。しかもコテコテのアメリカ人の中に、異質のイギリス人が混じる...この構図を考えるとやはり、このシャーロックという役は、イギリス訛りができるアメリカ人ではなく、生粋のイギリス人の方が絶対にいい。ジョニーにぴったりな役というわけだ。

20131004_c04.jpgもちろん、この役を引き受けるにはかなりの勇気がいっただろう。というのも、当時はロバート・ダウニー・Jr.主演の『シャーロック・ホームズ』が世界的にヒットを飛ばし、さらには本国イギリスでベネディクト・カンバーバッチ主演『SHERLOCK』が話題になっていたからだ。最初はさすがのジョニーもそれを理由に断ったという。しかし、この『エレメンタリー』は、今までの映画やドラマとは一線を画するホームズを演じられる可能性を秘めていた。ジョニーもその魅力にあらがえなかったようだ。

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■大胆なアレンジと繊細な演技で広がるホームズ世界~事件解決だけじゃない。ホームズ自身が最大の謎!

現代のニューヨークに舞台を移し、地元警察のコンサルタントとしてホームズが事件を解決していく『エレメンタリー』。原作では女嫌いで有名なホームズだが、同作は相棒ワトソンをルーシー・リュー演じるアメリカ人女性にするという大胆なアレンジしている。これがアメリカ人とイギリス人、男と女という異文化コミュニケーションを生み、今までのホームズ世界を広げている。

そして、もう一つ、大きくアレンジと言えば、舞台を現代のニューヨークに移したところ。「なぜ、ホームズがニューヨークに来たのか」というのがそもそも謎だ。同作では、この謎をホームズのミステリーとして物語に取り込んでいる。ホームズは過去に何かがあり、ニューヨークにやってきた...というわけだ。いわば心に傷を負ったホームズなのだ。
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ジョニーは、自分ならではのホームズを生み出すために、過去の映像作品ではなく、原点回帰で徹底的に原作を読んだという。本来のホームズの性格----頭脳明晰でエキセントリック、他者への配慮に欠け、ズケズケと失礼なことを言うなど――をしっかり踏襲しながらも、彼の傷を繊細に演じている。

もしも、ホームズが心の傷を胸奥深くに抱えていても、おそらくあからさまには出さないだろう。理性と強がりの中にふとよぎる傷の痛み......そして、その小さな揺れを相棒ワトソンがすかさず察知するのだ。ここでワトソンを女性にしたのが効いてくる。いくら言葉巧みにごまかしても、女の勘はだませない。ホームズの頭脳とワトソンの女の勘が絶妙な緊張感を生んでいる。男同士だからこそ、すべてホームズに見透かされていたワトソンが、女になるとホームズもどうも勝手が違う。たまに大きく外したりするのが、天才だが、世間のこと(特に女心)には疎いホームズのキャラクターを引き立ている。

実はジョニーとベネディクトは、『トレインスポッティング』『スラムドッグ$ミリオネア』の監督でおなじみのダニー・ボイルが演出した舞台Frankenstein(フランケンシュタイン)で共演(2011年)している。

二人は博士役とモンスター役を交代で演じ、甲乙つけがたい演技だと絶賛された。その後も、厚い友情関係が続いているという。

というわけで、ジョニーが、ベネディクトのホームズを意識するのも当然だ。良きライバルがいてこそ、演技にも気合いが入るというもの。ベネディクトと演技者として認め合う仲だからこそ、『エレメンタリー』のホームズは、ジョニーだからこそ、さらに面白くなるのだ。

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■いとも簡単にアメリカ人になりきれる英国俳優の強さ

ジョニーがかつてスコットランド人になりきって評価されたように、やはり役を演じるきるためには、アクセント(訛り)の習得は大切だ。そういう意味では、ホームズを演じるきるためには、どこまでもイギリス人らしいイギリス英語を話すことが必須になることからも、俳優探しは英国俳優に候補者は絞られただろう。単にイギリス英語を発音できるだけではダメだからだ。

20131004_c03.jpgそういう意味でも、アメリカのスターが英国人役を演じ、完璧なイギリス英語を操るとちょっとしたニュースになるので目立つ。例えば、ホームズを演じたロバート・ダウニー・Jr.はかつてチャーリー・チャップリンを熱演し、すでに"イギリス英語は完ぺきな俳優"とみなされていた。また、完ぺきに演じきったという意味では、『ブリジット・ジョーンズの日記』レニー・ゼルウィガー『恋に落ちたシェイクスピア』グウィネス・パルトロー、最近では『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』メリル・ストリープなど、いずれもオスカー級の俳優ばかりだ。

一方、英国俳優はいとも簡単にアメリカ人になりきれるため、今、彼らの勢いがすごいことになっている。
例えば、アメリカ人の象徴とも言えるリンカーン大統領を演じ、オスカーに輝いた英国俳優ダニエル・デイ=ルイスを筆頭に、ダニエル・クレイグ、ジェラルド・バトラー、クライヴ・オーウェン、クリスチャン・ベイル、そして最近では『マン・オブ・スティール』ヘンリー・カヴィルなどなど、映画界では英国俳優が主演をどんどんかっさらっている。

これはTVドラマ界でも同じだ。
完ぺきなアメリカ英語を話すヒュー・ローリーから始まり、『HOMELAND/ホームランド』ダミアン・ルイス『トゥルーブラッド』スティーヴン・モイヤー、さらに『ウォーキング・デッド』アンドリュー・リンカーンまでが英国出身。また、9月から始まったばかりの話題作『Sleepy Hollow』の主演も英国出身のトム・マイソンが抜擢され、レギュラー出演はもちろん、主演級まで英国俳優が勢力を拡大している。
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ジョニーがホームズを演じるというように、英国人が英国人役を演じればわかりやすいが、たいていは「えっ、アメリカ人じゃなかったの!?」と驚くくらい、静かにいつの間にかアメリカ人になっているのが英国俳優のすごさ。

イギリスには、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーといった名門劇団に加え、ギルドホール音楽演劇学校、王立演劇学校など、数多くの演劇学校がある。彼らは、イギリスの舞台、TV、映画だけでなく、ハリウッドを目指すことを念頭において、映画界の標準語であるアメリカ英語も学ぶわけだ。

20131004_c01.jpgしかも最近、イギリスでは名門劇団出身や名門演劇学校出身は当たり前になってしまったのか、それを飛び越えて、王室の王子たちも通った超名門パブリック・スクール、イートン校出身の俳優が注目を集めている。王子たちも通うくらいなので、名門中の名門で、上流階級の男子たちばかり。ヒュー・ローリーもこのイートン校出身だ。さらに今やTVドラマ界の演技派筆頭にいるダミアン・ルイス、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』ドミニク・ウェスト、そして映画『レ・ミゼラブル』のマリウス役で注目されるエディ・レッドメインと続く。いずれも癖のある複雑で緻密な計算が必要な役柄を得意とする俳優ばかりだ。恐るべし英国俳優!

どんな役柄にもなりきれる職人気質の英国俳優たちは、貪欲にアメリカに進出している。もちろん成功する者もいれば、失敗する者もいる。

かつてスティングが、「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」という歌で、ニューヨークにいるイギリス人のちょっとした違和感や疎外感を歌ったが、ジョニーが演じるのは、"ホームズ・イン・ニューヨーク"なのだ。アメリカで酸いも甘いも経験したジョニーだからこそ、醸し出せるホームズの刹那にぜひ、注目してほしい。

【関連特集】シャーロック・ホームズ、NYに降臨! 『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』

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20131004_c07.jpg『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』
WOWOWプライム
10月12日 レギュラー放送スタート
【二か国語】毎週土曜22:00~ 【字幕】毎週23:00~
☆10月5日(土)18:40~ 第1話先行無料放送!

Photo:『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』
ジョニー・リー・ミラー
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ベネディクト・カンバーバッチ
(c)海外ドラマNAVI編集部
ロバート・ダウニー・Jr
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ヒュー・ローリー
(c)Megumi Torii/www.HollywoodNewsWire.net
ダミアン・ルイス
(c)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
スティーヴン・モイヤー
(c)Kazuki Hirata/www.HollywoodNewsWire.net
エディ・レッドメイン
(c)海外ドラマNAVI編集部