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「『SMASH』は、僕らの業界"あるある話"が満載ですよ!」Studio Life 曽世海司さんにインタビュー<前編>

20130109_s01.jpg現在Dlifeにて放送中であり、さらに4月5日(金)にはDVDが発売されるドラマ『SMASH』。ブロードウェイミュージカルを作ろうとする役者・スタッフたちを描いたドラマですが、実際にショービス界で生きる人が『SMASH』を観た場合、何をどのように感じるのか!?...そんな思いから、男優だけで構成される劇団、Studio Lifeの曽世海司さんに話を伺ってきました! 

1月10日(木)から始まる芝居『11人いる!』の稽古場にお邪魔したNAVI編集部は、語りたいことをきっちり書きこんだ手帳を手にした曽世さんに、ただならぬ気配を感じつつ...インタビュー、スタート!


――『SMASH』をご覧になってみて、最初に感じたことは?

なんて本格的なドラマなんだろうって思いました。こう言ったら失礼ですが、ドラマなのになんて贅沢なんだろうって思ったんです。オーディションや稽古場面で、実際に本番の舞台で演じている映像を、インサートで入れてくるでしょ?あの本番映像自体、リハーサルが相当必要だと思うんです。パパッとやって一日で作りあげられるものじゃないでしょうから。SF作品で言うところのVFXのように、ポストプロダクション(撮影後の作業)やプリプロダクション(撮影前の作業)を相当やっているはずですよ、この作品は。寸分の隙もなく見せてくれるのが本当に贅沢ですね。
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リアリティの点で語るならば、僕らの業界的「あるある話」が満載で! 例えば第1話でトムが舞台『ヘブン・オン・アース』を舞台袖で観ている場面なんですが、舞台から降りてくるアンサンブルの男子から「やあ!」って声をかけられたとき、トムはちょっと複雑な表情をしつつ「や、やあ!」って返すんです。こういうこと、本当によくあるんですよ。こっちは覚えてないけど向こうは自分をすごく覚えているってことが(笑)。これはこの業界を描く上で絶対はずせないシークエンスだなって感じました。だって会う人間の数が半端ないんですよ。でもそんなときでもトムはやさしいですね。相手を知っていたフリをしますから。僕は後輩の顔をなかなか覚えられないですよ。どこであったかも覚えてないこともあって、頑張ってごまかすんですが(笑)。もちろん、逆のパターンもありますよね。僕のことを覚えてないって表情をされると悲しくなりますよね。

――ごく一般的な生活をしている身としては、曽世さんの目線でもう一度『SMASH』を観たくなりますね!

舞台上は非現実の世界で、アイヴィーやカレンたちがいちばんキラキラ輝きながら生きる場所。舞台袖からこちら側は現実であり日常の世界。『SMASH』は、この舞台と舞台袖の間にある「ボーダーライン」から両方を描いているので、ものすごくドキドキするんですよ。

この業界にいる人間は、作り手でも演じ手でも、普通の生活をしている人たちとはモノを見る眼がかなりズレていますからね(笑)。そんな眼で『SMASH』を見ると「これ、業界人間向けに作ったの?」って思うんです。そう思うくらい僕らの世界をリアルに描いていますよ。これだけの作品ですから、かなりの歳月と労力とお金を注いでいるでしょうね。

――『SMASH』の登場人物の中で、特に曽世さんが共感する人物は誰ですか?

sma1.jpg実は、キャスト側でもスタッフ側でもなくって...カレンの恋人デイブが本当に素敵だと思うんです。
オーディションに、他の役者たちがいかにもなマリリン風コスプレで臨む中、普段着で来てしまい不安になるカレンに

「マリリンは愛の人だ。愛の歌を歌って」

ってデイブが言うんです。

...この仕事に携わる人なら皆わかることだと思うんですが、役に対して形から入るのではなく、心情から入る人のほうが圧倒的に説得力があるってことを、この1シーンだけで見事に描いているんです。キャリアがあったり、華やかなビジュアルを持つ人がたくさんいても、この一言で視聴者は「カレンのほうが、はかりしれない才能を持っているかも!」って気がつくと思うんです。彼女はその才能がまだうまく発揮できていないってこともね。カレンにはハートフルな力があって、それを恋人のデイブが見抜いていて、的確にアドバイスをしている。これって素晴らしいことですよ。歌は心で歌う、これぞあのノーマ・ジーン(マリリン・モンロー)を演じるために一番大事なことなんだろうと思いますね。カレンはきっとこの後華を咲かせていくんだろうなあ。もちろんいっぱい挫折しながらだと思いますけどね。

――"デイブ推し"故にカレンの肩を持ってしまいますよね。ところでライバルとなるアイヴィーについてはどう感じますか?

アイヴィーは、何か悲しさを常に感じますね。彼女って10年も下積み生活を送って、今ようやくつかもうとしているチャンスが目の前にあるんでしょ?おめでとう!って言ってあげたいんだけど、アンサンブルにいるカレンという、どうしたってハートフルな存在に惹かれてしまうんですよ、視聴者もこの業界の人もね。そうなると、アイヴィーはいずれカレンに太刀打ちできなくなる瞬間がくるんじゃないかなあ。でも、がむしゃらに頑張るアイヴィーの姿は、自分が一生懸命にやってたときのことを思い出して泣けてきます。そんなに頑張ってたらいつか転んじゃうよ!って思うんです。自分自身にも経験がありますが、頑張って頑張ってよし行ける!って確信してやってきた後の挫折は大きいですから。

このショービズの世界で生きていくために必要なものとして、「実力」「キャリア」「ハート」と触れてきたのですが、実はこの三つを足したもの以上に「運」と「縁」が大きいんです。この二つを勝ち取れるか否かが、その役者がこの世界で生き残っていけるかどうかを左右すると思いますね。カレンとアイヴィー...いずれどちらがより強運かが見えてくるはず。スタート時点だと、アイヴィーはトムに推薦されている。これも運と縁。カレンはデレクに誘われた。これも運と縁。これらをこの後どう活かせるかがカギになりそうですね。これだけじゃなく、最強の運がどこかに転がっているかもしれないし。先のことを想像したり過去を振り返ったりしているので、いち視聴者としてドラマを観ているはずなのに、一瞬真顔になって見ている自分がいますよ(笑)。
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――縁と言えば、デレクとカレン、デレクとアイヴィーの関係も気になるところですよね。相手を受け入れるか否かのところで違いはありますが。

すでにデレクはカレンに興味持ってしまってますよね(笑)
僕らStudio Lifeは男優集団だからまだいいけど、僕らの仕事現場って男と女がいて...何もない訳がないんですよ。しかも僕らの売り物が"気持ち""魂"といったハートの部分であり、"演じる""表現する"ってことは、ハートを相手と交換し合う作業なんです。役者と演出家の間、または役者同士でその交換作業を日常的にやっているので、結果、相手と恋に落ちる確率がものすごく高いんですよ。アイヴィーも打算だけじゃなくて、たぶん相手に惹かれる部分があったからこそ、ああいう行動を取ったんだと思うんですよ。

――トムやデレクに代表される、作り手側の人間模様や言動で、共感できる部分はありますか?

der.jpg僕は、芝居そのものを仕切ることはないですが、作り手側のお手伝いをやることはありますので作り手の気持ちはよく伝わりますね。ファンクラブイベントを自分が中心になってやるときに、わがままな役者たちをどう動かすか、いや、動いていただくか(笑)。無理難題をいかに気持ちよくやってもらうか。その場合、飴と鞭のどちらを使えばいいのか...って。
視聴者目線で単純に「デレクの対応がひどい!」って思う稽古場のシーンでも、作り手側の気持ちに立つと、クリエイターとしての感性ではトムもデレクも重々考えた上で判断をしたんだろう、場合によってはキャスティングを変えたんだろう...っていう思惑がひしひしと伝わりますね。

そうそう、トムとジュリアが芝居で使う曲を構成をしているときに、1幕ラストの曲をオープニングのどアタマに使おうとするじゃないですか。ああいう大胆な試みがうまくいったりすることって実際にあるんですよ。前に僕らが『DRACULA』(ブラム・ストーカー原作)という芝居をしたとき、「ドラキュラ伯爵がジョナサンを屋敷に招き入れる場面で「なんかうまくいかないなあ」って悩んでて、そこで思い付いたのが「話をひっくり返そう!」って案で。その結果、伯爵はいつ出てくるんだ?ってお客様たちに思わせ続けて40分...ようやくバッと登場して。あれは英断だったな、と今でも思います。ただ、ドラキュラをやる身としてはしんどかったです。お客様が今か今かと待っている中に最高にカッコよく、寸分のミスも許されない状態で登場するんですから、その緊張感が!(笑)

――芝居を作っていく過程では、国や性別を問わず、似たような経験や事例が起こりうるものなんですね。そう言う場合、スタッフ間の意見のやりとりは非常に重要となってくると思うのですが、『SMASH』ではトムとジュリアの信頼感が絶妙ですよね。

最高ですよね。加えてトムがゲイでよかった。ゲイの人って男性の気持ちも女性の気持ちも両方わかるから敵わないんですよ。視点を倍持っているんです。僕らの仕事は作り手であっても演じ手であっても、自分の中に主観と客観の二つが存在して、両者がバランスを取りながら作っていく仕事なんです。「自分はこうしたい」という柱のような絶対的主観はもちろん大事。プラスそれを作品に盛り込むときに客観的な視点もないと絶対困ることになるんです。性に関して一方的じゃない人は、複数の視点を持っているから、それだけで可能性がぐんと広がっているんです。絶対的主観についても2本、3本と多くの柱を持っていたりするから、発想もものすごく膨らんでいるし。この業界に必要な感性だと思うんです。
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――逆にこれは自分、もしくは日本と全然違うなって思う部分はありますか?

20130109_s06.jpgプロデューサー・アイリーンの「どうしても20万ドルは必要」って言葉がね! すごいですよねー! ワークショップに1720万円(1ドル=86円換算)を使う国ですよ。ジョー・ディマジオ役としてマイケルがオファーを受けるときに「ワークショップが週200ドルだぞ」って悩む場面があるんですが、僕的には「日本じゃお金を払ってワークショップを受けるんだぞ!」って思いますよ。アメリカはワークショップでギャラがもらえるんですよね。日本は稽古手当とか一切ないし誰もそんなことを考えていない。すべては本番に出て初めてギャラが発生する。この点は日本とアメリカでは大きく違いますね。しかもオフじゃなくオンのブロードウェイだとそりゃあアイリーンも大変ですし、私財を売ろうとも思いますよね(笑)。

日本だと、一つの作品でここまで丁寧にオーディションをやるのってかなり大手の作品くらいじゃないですか? こんなに丁寧なのはごくまれ。ワークショップ形式から芝居を立ち上げるところなんてほとんどないです。芝居でなく映像作品となるともっとないですね。この点、アメリカの作品はずっと手間ひまかけていますね。

◆後編では、曽世さん自身の過去や経験、今思うところを語っていただきます! カレンやアイヴィーの想いと重なる話もあるかも!?≫

『SMASH』
(c)2012 Universal Studios. All Rights Reserved.

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