タイムマシンde過去ドラマ『ジェシカおばさんの事件簿』

ジェシカおばさんの事件簿

ジェシカおばさんの"ヤバイ"ほどのバイタリティがその理由!?
アメリカで長―く愛された本格ミステリー

1984年にアメリカでスタートしてから1996年にファイナルシーズンを迎えるまでの12年間、一度も休まずに駆け抜けた超人気ミステリードラマが『ジェシカおばさんの事件簿』。主人公はジェシカ・フレッチャー。だれもが親しみを込めて「ジェシカおばさん」とよぶ女流ミステリー作家が殺人事件を解決していく本格ミステリードラマだ。
舞台となるのは人口4000人にも満たない海沿いの小さな田舎町、メイン州カボット・コーヴ。カナダにほど近いこの港町は東海岸上部に位置し、住人はお互いに顔見知りで、誰かの家を訪問するときは、パイやスープなどの手料理を持っていくのが習慣という、平和を絵に描いたような町だ。しかもジェシカは最初から作家だったわけではない。夫であったフランク亡き後、そのさびしさを紛らそうとして書いたミステリー「死体は夜踊る」が出版社の目にとまったのがきっかけでデビュー。以来、彼女は行く先々で巻き起こる殺人事件をめざとく見つけては物見遊山な好奇心に背中を押されつつ自ら巻き込まれにゆき、きめ細かな観察眼と持ち前の論理的な思考で難事件を解決に導いていく

登場人物は、ミステリー作家のジェシカとその友人たち。ジェシカは作家としてデビューする前からこの港町に住んでおり、時折頼まれる高校での代理教師を努めながら友人たちとの暮らしを楽しんでいた。ところがミステリー作家になってから町の保安官から殺人事件についての相談を受けるようになり、いつのまにか町ではもちろん、旅先でもさまざまな事件に関わるようになっていくのだ。
そんな彼女を友人として支えているのが漁師のイーサン・クラーク。殺人事件の解決には特に役に立たないけど、その好人物っぷりはのどかなカボット・コーヴを代表するといっても過言ではない。朝には朝食のパイをごちそうになり、嵐の晩にはジェシカの安否を気遣って家を訪ねる。休日になると家の修繕を手伝うなど、日々の暮らしを助け合う良き友人だ。
ジェシカが親友と慕うもう一人の友人がセス・ハズリット医師。やや無愛想なところがあるけれど、カボット・コーヴで一番の名医。ジェシカを手伝って事件解決のアドバイスをすることも。
そしてジェシカたちの共通の友人であり、この町の保安官を務めるのがエイモス・タッパー保安官。平和な町の保安官らしく殺人事件にはとんと疎く、実際の捜査にも行き詰まってばかり。ジェシカに助言を求めることもたびたびだけど、表だってそんなことを聞きやしない。でも、ジェシカもその辺はお手の物で、安直な解決策や根拠のない直感に流れがちな保安官に対して、彼の機嫌とプライドを損ねぬようにさりげなくアドバイスをしつつ、事件解決へと導いていく

このドラマの人気の秘訣は、なんといってもジェシカおばさんの人柄! 彼女の溢れんばかりの好奇心と行動力が見る者をぐいぐいと作品世界に引き込んでいく。しかも彼女の好奇心は、関係者に煙たがられても、警察から邪険にされても消えない。しかも、警察の捜査方針に何かと口を出すジェシカに対し、警察当局は現実の事件はミステリー小説とは違うと変な意地を張るのだけど、複雑に入り組んだ事件の全体像を紐解き、最終的に殺人犯を特定していくのはジェシカ。その小気味良さは、わかっていてもついつい見入ってしまうほど。しかも事件解決に対して変に気負ったりもせず、のんびり眺めていられるからお茶の間サスペンスのお茶請けにもぴったり。

そんなジェシカおばさんだけど、事件に向き合う姿勢は他のどのドラマとも似ておらず、独特にしてユニーク。探偵ドラマのようなストイックさもなければ、刑事ドラマのように日々のルーチンワークと向き合う葛藤も描かない。もちろんアクションシーンもなければお色気もほとんどなし。本作が描くのは普通の人々、警察でもなければ探偵でもない単に殺人事件に巻き込まれた人々の立場だ。とりわけ真犯人に意図的に巻き込まれ、犯人に祭り上げられてしまった無実の人の立場から事件を描くことが多い。実際、論より証拠とばかりに、わかりやすい動機とおあつらえ向きな状況証拠をセットにして犯人を特定する警察に対し、現実がそんなにわかりやすいはずがないと思っているジェシカおばさんが横やりを入れるという構図でストーリーが展開することが多い。
日々の生活にはいろんなことが詰め込まれており、絶妙なバランスでかろうじて成り立っているのだ。人は怒れば声を荒げるし、「殺してやる!」と罵倒することもある。しかし、だからといって殺人を犯すとも限らないのが普通の生活者の感覚だ。そもそも普通の生活者は自分が犯人に疑われるかもなんてことを日常生活の中で想像する機会などない。だからこそ「殺してやる!」と叫ぶのだ。そんな日常を生きる普通の生活者の立場から殺人事件を描いているのがこの『ジェシカおばさんの事件簿』のユニークさの秘訣であるし、他にはない魅力だろう。

ちなみに、警察でも探偵でもない普通の人が世間話に花を咲かせながらあちこちで集めた情報を寄せ集めて事件を解決するタイプのミステリーをコージー・ミステリーとよぶらしいのだけど(アガサ・クリスティの『ミス・マーブル』シリーズとか)、『ジェシカおばさんの事件簿』もこのタイプ。素人探偵物ともいわれるが、全体的にのんびりしていて、武勇伝のような押しつけがましさもなければ、シリアスで辛辣な結果にもならないのが特徴だ。

さて、豪華なゲスト俳優も『ジェシカおばさんの事件簿』の特長の1つ。たとえば、『裸のガンを持つ男』でコミカルなエージェントを演じたレスリー・ニールセンが責任感に溢れた豪華客船の船長役で登場。他にも『スタートレック』のスポック役を断って『スパイ大作戦』で変装のプロフェッショナル、ローラン・ハンド役を手にしたとされるマーティン・ランドーがナイトクラブのボスで役者をこき使う悪者役を演じたり、高校在学中に『エクソシスト』の少女リーガン役のオーディションに参加して600人の中から見事に役を勝ち取ったリンダ・ブレアも登場するなど、見逃せない。
おっといけない、ジェシカおばさんを演ずるアンジェラ・ブリジット・ランズベリーについても。
『ジェシカおばさんの事件簿』が始まった当時、彼女は59歳。もちろん(というか、当たり前だけど)、第12シーズンが終わったときは71歳。実に頑張り屋さんです。しかも、その後も舞台活動を続け、この2009年6月には第63回トニー賞演劇助演女優賞を受賞しています。受賞当時は83歳。しかも、5度目のトニー賞受賞は、ジュリー・ハリスと並んで歴代タイ記録のおまけ付き。まだまだこれからが楽しみな女優さんなのです。

そうそう、『ジェシカおばさんの事件簿』はアメリカで12年続いた長寿番組だったことは先に紹介したけれど、シーズン終了後もその人気は衰えておらず、その後4本のTVムービーが作られています。ジェシカ役を演ずるのはもちろん、我らがアンジェラおばさん。
一方、日本の放映状況はといえば、ちょっとさびしいかぎり。NHKが吹替版を第3シーズンまで、その後、LaLa TVが字幕版で第4シーズンを放映したのが最後...。オトナ?な事情はともかく、続きが見たいと思っているヒトも多いはずなのに...。関係者の方々には猛省を促したい!?
なお、本国アメリカではといえば、コンプリートDVDボックスが順調に発売されており、2009年7月に第10シーズンが発売されたばかり(UK版は同年8月)。全12シーズン264エピソードが出揃うのももう間近。ついでにいえば、ジェシカが関わってきた殺人事件は全部で286件(殺されかけたが一命を取り留めた殺人未遂事件1件を含む)。気になる人はカウントしてみよう!?
ついでのトリビアだけど、本ドラマの企画・制作は『刑事コロンボ』でお馴染みのリチャード・レビンソンとウィリアム・リンクのコンビ。そして日本語版の翻訳担当も『刑事コロンボ』で「うちのカミさんが」の名調子を生み出した額田やえ子。この日米双方の『刑事コロンボ』スタッフの参加が本作に与えた影響は計り知れず、それも魅力の1つ。しかも、吹替版ではジェシカ・フレッチャー役に国民栄誉賞を受賞した女優の森光子さんを起用。吹替作品への俳優起用に疑問の声が投げかけられている今日このごろ?だけど、さすがは森光子さん。海外ドラマの吹き替えは初体験とのことだけど、なかなかどーして、"得も言われぬすばらしさ"のお手本を見て(聞いて)いるかのよう。

さてさて、そうこうしているうちに、勝手に猛省を促したかい!?もあったか、日本でも待望のDVDが発売されました。さすが!!でござる! NHKが放送した第1シーズンから第3シーズンまでの全56話に国内未放送のパイロット版「シャーロックホームズ殺人事件」(英語音声・字幕のみ)を収録。このパーフェクトDVD-BOXが2009年8月に発売(シーズン1、2、3の各DVD-BOX同時発売)! ようやく懐かしいジェシカおばさんと再会が...。森光子さんの"名"吹き替えもあわせてお楽しみあれ!
さあ、こうなったら、第4シーズン以後もすぐに見ることができるかも???


「ジェシカおばさんの事件簿」の公式HP

■ジェシカおばさんの事件簿 DVDシーズン1~3、全巻セット 好評発売中
【全巻セット】(シーズン1~3)DVD-BOX ¥59,850(税込)
【シーズン1】 DVD-BOX ¥17,640(税込)
【シーズン2】 DVD-BOX ¥26,040(税込)
【シーズン3】 DVD-BOX ¥26,040(税込)

(c)2009 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED

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