タイムマシンde過去ドラマ『刑事コロンボ』

刑事コロンボ

コロンボって
まるで聞きたがりの子どもみたい!?

コロンボって見れば見るほど、子どもみたいだなぁと思うのですが、みなさん、いきなりですがいかがですか?
ほら、自分が納得するまで引き下がらないしつこいところや犯人がボロを出した時なんて、瞳をきらきら輝かせながら「見たね。ね、今のみたね!」と勝ち誇るところとか。つまり、なんていうのか、お前は子どもかっ!って言いたくなるほどに大人げない。そんな、よれたコートを羽織った冴えないオヤジが、どうしてか憎めない。この不可思議さこそが『刑事コロンボ』の魅力!?
人は見かけによらない、っていうか、コロンボと子どもは舐めてかかると怖いのよ。というわけでやっと登場、プロセジュラル・ドラマの王道『刑事コロンボ』。

『刑事コロンボ』は、ロサンゼルス市警察の殺人課の刑事(階級は警部補)として活躍するコロンボを描く推理ミステリー。初回放映は1968年からで、1978年に一度終了するものの、その後1989年に再開し2003年に終了。日本を始め世界中で放映され、多くのファンに愛された人気シリーズです。
『刑事コロンボ』は通常の推理ドラマと違い、まず冒頭のシーンで犯人が殺人を犯す様子を詳細に描き、視聴者に犯行の全容を見せてしまいます。そして、コロンボ警部補の登場。現場に残された遺留品や容疑者とのやりとりを通して真犯人を明らかにしていきます。
これは推理小説の中でも倒叙ものと呼ばれる展開手法なのだけど、『刑事コロンボ』で初めて目にした方も少なくないはず。最近ではご存じ『古畑任三郎』が超有名。倒叙ドラマは、最初に誰が犯人かを明示できるため、大物ゲストを犯人役として採用できるというメリットあり。実際、『刑事コロンボ』にはジャンルを問わず豪華なゲストたちが登場していて、それも見所の1つなのです。

ちなみに、コロンボ警部補は殺人課に所属している割には射撃も運動も大の苦手。使えないなら持ってもしょうがないとばかりに銃は携帯しないし、犯人との大立ち回りも演じません。殺人課にしては全然マッチョじゃないし、それどころか、捜査にもよれよれのレインコートを羽織り、頭はぼさぼさ、ちびた葉巻を後生大事に持ち歩く。そんな奇妙奇天烈な風体で登場するコロンボは、シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロといった切れ者探偵からも対極にいる感じ。まあ、日本でいえば、金田一耕助って感じか。

そんな彼の捜査方法は、とにかく歩き回って、聞き回るだけ。いかにも無邪気そうな顔をして犯人とおぼしき人物につきまとっては、珍妙な質問をしその答えに大げさに納得して帰っていく。見ているほうまでが拍子抜けしてしまう、彼の様子はまるで子どものお使い状態。容疑者一同、そんなコロンボの行動には大きな不安を感じているはず。そして自分の愚鈍っぷりを印象づける一方で、不意に核心をつく質問を投げかけて犯人をどぎまぎさせてみたりもする。これには犯人はもちろん、視聴者までもが不意をつかれ、「彼のずさんな言動って、実は計算?」と混乱してしまうほど。
こうした彼の行動全てが天然とは思えないのだけれど、だからといって全てが計算された演技と考えるには、コロンボの日常生活はひどすぎる(涙)
だって、基本的に普通じゃないっていうか、着るものに頓着しないにしても、雨が少ないカリフォルニアでレインコートを選ぶというコロンボのセンス。メモ魔のくせにボールペンや鉛筆は必ずどこかに置き忘れる。借りたペンも返すどころかポケットにしまい込み、借り主から呆れられることもしばしば。他にも、ヘビースモーカーなのにマッチを持たず、お金も必要以上に持ち歩かない(というか、いつも足りなくて同僚に借りたり、市警察のツケにすることも)。世間話も長く、挙げ句の果てには「ウチのカミさんが...」(訳、そして吹き替えが秀逸!)と奥さんの話を延々繰り返すなど、コロンボの奇行を取り上げていくと枚挙にいとまがない
だからといって嫌な人物といえば、そんなことはない。正直で、人の悪口を言わないところは誰もが認めるところで、好感度も高い。自分の奇妙な風体を見られて浮浪者と間違われても全く意に介さないおおらかさ(?)もあるし、アメリカに数台しか残っていない(と本人は主張するけど、実は単に古いだけで何の価値もない)フランスの大衆車を後生大事に乗り回すところは、可愛ささえ感じる(え、違う!?)。
出世とは無縁、素でダメなところが人々に愛されているのかも。

そんなコロンボ警部補のキャラクターに加え、このドラマを盛り上げているもの、それがコロンボ警部補の尋問?いやいや質問攻撃だ
冒頭のシーンを見ている視聴者は、真犯人が誰で、どんなトリックが用意されているかも知っていて、知らないのはコロンボただ一人。こうした『刑事コロンボ』独特のスタイルも手伝って、視聴者の関心はコロンボがどうやって真犯人を見つけていくのかに向いていく。ところが、コロンボの関心は、事件とは関係がないと犯人や視聴者が思うことばかりに向き、事件は一向に進展しないばかりか、トリックに気付かないこともしばしば。かと思えば、捜査に行き詰まったコロンボが犯行に関する疑問を真犯人に相談することも。このあたりが子どもっぽいというか、考えなしというか、コロンボがコロンボである由縁。一方、問われた真犯人は、知っていることを教えると自分が犯人であることがばれちゃうし、知らないと言い張るのも変かもと悩み、勝手な推理をでっち上げてみたり、あるいはコロンボの推理を手助けしたりと大忙しだ。

一般に倒叙もののドラマの醍醐味は真犯人を追い込む過程にあるけど、『刑事コロンボ』シリーズではそれに加え、コロンボの愚鈍さを確信して油断してしまう犯人の迂闊さにも注目したい。
犯人にやっかい者扱いされるコロンボ。コロンボを利用しようとする策略を練る犯人。そして、そんなことまで話しちゃって大丈夫なの?と勝手に心配する視聴者の三者を巻き込みつつも物語は佳境へと進む。
さて、足下をすくうのはコロンボか。犯人は逃げ切れるのか。詰むや詰まざるやの心理戦に視聴者の心拍数もいやが上にも高まっていく。
結局、人は知らないことは話せないけど、知っていることを黙っていることはなかなか難しいんだなぁと実感させられてしまう。

おっと、忘れるところでした。最後にコロンボ警部補を演ずるピーター・フォークについて。
子ども時代に役者経験があったピーターは大学を卒業すると予算局に務めるのだけど、若気の至りというか、役者への夢を捨てきれずに稽古を再開してしまうのでした。そして、1950年代には見事にもブロードウェイに進出。その後も順調に舞台やドラマ、映画に出演してコミカルな中年俳優としての地位を確立していく。そして、1968年に彼の存在を世界に知らせた代表作『刑事コロンボ』のコロンボ警部補役を獲得。2003年終了までの全69作全てに登場することに。彼自身の演技に対するこだわりは相当なもので、脚本への口出しや撮影のやり直しなど、局側ともめることも度々とか。また、親日家なのかピーターはサントリーとトヨタのCMにも出演している。サントリーのCMではバーのマスターを演じてちょっとした小話を披露し、トヨタのCMでは『刑事コロンボ』さながら「最後にもう一つ」とコミカルに演じていたのをご存じの方も多いはず。

そして、そして、本当に本当の最後にもう一つ。
意外に知られていないのだけど、監督陣の充実も『刑事コロンボ』シリーズの特長。3話「構想の死角」ではスティーブン・スピルバーグが監督として参加。5話「ホリスター将軍のコレクション」の監督は『トワイライトゾーン』や『ルート66』を手がけたジャック・スマイト。42話「美食の報酬」では『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミが監督している。もちろん、カメラや脚本についてだって、注意深く見ていくとどこかで目にした名前が見つかるかも。 スタッフやゲスト俳優を気にかけながら見るのも楽しい『刑事コロンボ』なのでした。


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