米TV界で各賞受賞の傑作ドラマ「ブレイキング・バッド」の人気キャラクター、ソウル・グッドマンを主人公にした「ブレイキング・バッド」の前日譚ドラマ

『君の名は。』ファンも必見!? 父娘の不思議な交流を描く『シグナル/時空を超えた捜査線』

(※本コラムは、映画『君の名は。』の重要なネタばれを含みますのでご注意ください)

昨年(2016年)は、アニメ映画『君の名は。』が大ヒットした年だった。ヒットの余波は今も続いているようで、つい先日、ハリウッドで実写作品としてリメイクされるというニュースが報じられたばかりだ。

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見も知らない高校生の男の子と女の子が、心と体が入れ替わる不思議な体験を通して、次第に想いを寄せ合うようになる。しかし、二人は決してじかに会うことのできない時の運命によって隔たれていた......という筋立ては、海を越えて共感を呼ぶのだろうか。

実はアメリカのドラマ界でも、2016年はタイムトラベルものが流行った年だった。冒険ドラマ『タイムレス』や、映画『タイム・アフター・タイム』のTVドラマ版『タイム・アフター・タイム ~H・G・ウェルズの冒険』、スティーヴン・キング原作の『11/22/63』などが新作として放送されたほか、『アウトランダー』や『12モンキーズ』もシーズン更新を重ねている。

インターネットや携帯電話の普及により、いつでもどこでも人とつながることが当たり前になった現代でも、時間の隔たりを超えるのは不可能。それだけに、タイムトラベルという題材は多くの人の想像をかきたてるのかもしれない。

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今回紹介する『シグナル/時空を超えた捜査線』も、そんな不思議なつながりを描くドラマだ。ただし、映画『ある日どこかで』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように、人間がじかに過去に遡って昔の人に会うのとは違い、本作の主人公である刑事レイミー・サリヴァン(ペイトン・リスト)は、落雷の影響で動き出した古いアマチュア無線機を通じて、20年前に亡くなった父フランク(ライリー・スミス)と交信する。

この設定にピンときた人もいるかもしれない。実は本作は、2000年に公開された映画『オーロラの彼方へ』(主演:デニス・クエイド&ジム・カヴィーゼル)をリメイクしたドラマなのだ(どちらも原題は『Frequency』)。オリジナル映画の設定の肝は、過去に生きる相手の姿を見られないまま、声だけでコミュニケーションを取るところ。本コラムの冒頭で触れた『君の名は。』でも、主人公たちはお互いのメモを通じて交流していたが、コミュニケーションの手段が限られ、もどかしさが募るほど、つながりたいという思いはかえって強くなるのかもしれない。それに、「声だけのタイムトラベル」ならひょっとして可能かも、と思わせる説得力もある。

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映画の基本設定を踏襲する一方、『シグナル』では、現代に生きる主人公は男性から女性へと変わり、時代設定も一新された。性別を変えたことについて、自身も娘がいるという企画・製作総指揮担当のジェレミー・カーヴァーは、「父と娘の関係の方がよりダイナミックで、従来の作品ではあまり描かれていない題材でもある」と語っており、本作に適していると考えたようだ。

もう一つ映画と異なるのは、父フランクの職業。映画では消防活動中に殉職した消防士だったが、TVシリーズでは刑事(おとり捜査官)になった。仕事に専念するあまり家族と疎遠になっていたフランクは、おとり捜査中に汚職刑事である上司の罠にはまり、濡れ衣を着せられ殺された、という設定。過去との交信を通して父親の無実を知ったレイミーは、本人に警告して父の死を未然に防ぐことに成功する。

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しかし、レイミーの生涯はそれでハッピーにはならなかった。過去を変えた影響により、今度は母ジュリーが、ニューヨークを騒がせる連続殺人鬼"ナイチンゲール・キラー"の被害者となってしまう。ジュリーが殺害されるのは、フランクとレイミーが交信を行ってから11週後。1996年と2016年に生きる二人は、殺人鬼の犯行を阻止するため協力し合うことになる。

オリジナル映画では、消防士の父親が息子の指示に従い、慣れない刑事の真似事をする場面が多かった(もちろん、本職である消防士のスキルを生かす場面もあったが)。それだけにハラハラさせられたが、TVシリーズでは父娘ともに刑事なので、それぞれが過去や未来でしか得られない手がかりを提供し合い、捜査をお互いに助けるパートナーシップが楽しめる。このあたりはオリジナル映画にはない持ち味だ。

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また、ナイチンゲール・キラーはオリジナル映画では早々に正体を現したが、TVシリーズでは長丁場の利点を活かして人物設定が掘り下げられ、素性を突き止めるプロセスが描かれる。それに加え、レイミーが行う過去への干渉は意外な波紋を広げ、さまざまな事件を生み出していく。彼女の身辺にも予想外の変化がいきなり生じるので、油断していると「え!?」と驚くことになるだろう。

過去と現代に生きる父娘のつながりを主軸にしつつ、犯罪捜査やサスペンスの要素を増した『シグナル/時空を超えた捜査線』。秋の夜長にチェックしてみてはいかがだろうか。

■『シグナル/時空を超えた捜査線』放送情報
WOWOWプライムにて10月3日(火)22:00よりスタート(第1話無料放送)
[二]毎週火曜 22:00
[字]毎週土曜 8:00
番組サイトはこちら

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Photo:
『君の名は。』
(C)2016「君の名は。」製作委員会
『シグナル/時空を超えた捜査線』
(c)Warner Bros. Entertainment Inc.

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ライタープロフィール

中島理彦
中島理彦

編集者として幾多のゲーム攻略本を制作し、ソフト開発に手を染め、PC情報誌の編集など務めたのち、独立。海外ドラマやゲームを中心に記事を書いています(ときどき書籍翻訳も)。いつか木星の軌道上に浮かぶ宇宙船で1人暮らしをしたいと夢見るSci-Fi好き。大赤斑の渦を眺めながら、うたた寝できたら最高だと思いません? 最近アメリカのサンディエゴ市に移住しました。
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