現実との境界線を曖昧にしたい!『連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~』波多野貴文監督インタビュー

未解決凶悪事件、通称"コールドケース"を追うフィラデルフィア警察の姿を描き日本でも大ヒットした犯罪捜査ドラマの日本版、『連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~』が9月6日(水)よりリリースとなる。連続ドラマ初主演の吉田羊をはじめ豪華キャストが集結した本作の10話すべてでメガホンを取った波多野貴文監督(「SP」シリーズ)を直撃! オリジナル版との違いや撮影の舞台裏、すでに製作が決まっているシーズン2についても語ってもらった。

20170905_coldcase_01.jpg【関連動画】吉田羊が語る、『連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~』の奇跡

――これまでドラマや映画で警察を舞台にされた作品をいくつも手掛けていらっしゃいますが、今回のお仕事を受けた経緯はそこに関連しているのでしょうか?

警察だからということでは多分ないんですけど(笑)、もともとの流れは僕が以前ドラマ『翳りゆく夏』をやらせていただいたことから、そのプロデューサーの方に今回のお話をいただいて「なかなかないチャンスだな」と思って引き受けました。

――オリジナル版を初めてご覧になった時のご感想は?

テンポがすごくいいんだけれども、登場人物の心情が見える、日本に合っている作品だというのが最初の印象でした。人情をしっかり描いているだけでなくテンポの心地良さがオリジナル版の良さだと思います。

――本作はワーナー・ブラザース・テレビジョンのドラマを世界初でリメイクした事例ですが、オリジナルのストーリーやキャラクターがある上で、そこから全く別のものに変えてはいけないけれども、単なるコピーのようになっても...という匙加減が大変そうに思えます。特にどんな点を重視されたのですか?

前提として、日本とアメリカでは基本的に時効が違う(※凶悪犯罪に関して、アメリカだと事実上時効がないのに対し、日本では2010年に公訴時効の廃止・延長が改定されたが、1995年以前に起きた犯罪については時効廃止の対象外)ので、その点をどうするかは一時期考えました。その後、日本の時効をちゃんと適用することにしたり、オリジナル版で何度も取り上げられる人種差別の問題を日本に合わせた形に置き換えることによって日本の時代感を出していき、オリジナル版との差別化はできたかなと思っています。キャラクターに関しても、あのキャラをそのまま出すという風には考えていなかったので、俳優のみなさんには「オリジナルを見てもらっても構わないけれど、それをやってほしいわけではない」と最初にお伝えしました。

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――全10話はオリジナル版のシーズン1と2からのピックアップでしたが、7シーズン分(全156話)の中から、取り上げるストーリーをどういう基準で選ばれたのですか?

まず初期のシーズンから選ぶことにしました。そして事件の動機をなるべく多彩にしたかったので、嫉妬や家族愛といった風に分類していき、偏らないようにしました。絞り込みのプロセスとしては、僕やプロデューサーの方たちがそれぞれ好きな話を持ち寄って、そこからみんなで精査していきました。

――波多野監督のご希望は基本通ったのでしょうか?

拒否されたというわけではなく、設定を置き換えるのが難しくて通らなかったものも多くあります(笑) もしかしたらシーズン2ではやれるかもしれませんね。

――シーズン2のお話が出たところで、次回選びたいとお考えのエピソードがあれば教えていただけませんか?

もちろんリメイクなので元のストーリーはあるんですが、シーズン2ではもっと日本の時代感を出していきたいですね。どの時代でも当てはまるような話ではなく、例えばコギャルの時代だからこそこういう事件が起きた、とリンクできるような、オリジナル版からもっと日本寄りにした作品を作りたいと考えています。

――おっしゃる通り、本作では震災、バブルといった日本ならではの描写が新しいですね。そうした脚色をする上で監督から脚本家の方にアイデアを出されたりしたのでしょうか?

そういうこともあったとは思います。でもどちらかというと、事件と時代をピックアップした後、例えば第6話「恋文」(※事件発生は1950年)の脚本を瀬々(敬久)さんに書いていただいたように、その時代に詳しいと思われる脚本家の方にアプローチした後、どれを書きたいかといったディスカッションを重ねながら進めていきました。なので、僕が「これで!」と決め打ちでお願いするというよりは、チーム感というか、スタッフ間で意見を出し合って作っていった感じですね。

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――本作の興味深いことの一つがエピソードの順番で、第1話「閉ざされた声」はオリジナル版ではシーズン2のお話(第11話「ゼロアワー」)ですよね。第1話はシーズン1の初めの頃のエピソードを持ってくると予想していたので少し意外だったのですが、順番はどうやって決められたのですか?

第1話では特に、なぜコールドケースというものが発生したのかを描きたかったんです。誰かが自分の利益のために口を閉ざしてしまったけれど、時が経ったからその人もしゃべれるようになるというのをテーマの一つにしたかったので、このエピソードを選びました。それから、若者が洗脳される怖さを描きたいというのもありましたね。あとは、それぞれの事件のテーマで同じものが続かないよう、何度も何度もみんなでバランスを考えて検討しました。

――様々な差別、子どもへの性的虐待といった日本のドラマではあまり見ないような重いテーマも扱われていますが、これは監督のこだわりなのでしょうか?

そうですね。民放のドラマとはちょっと違う作品としての振り幅の大きさを利用できるというか、フィクションではあるんですが、こういうことも起きるかもしれないということを描きたかったので、通常よりは少し突っ込んだものを多めにチョイスしているかもしれません。

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――現代と、事件が起きた当時という二つの時期を描く手法を採る上で、一人の人物を演じ分ける二人の俳優の配役や、かなり昔が舞台となるエピソードのロケーション探しや小道具の用意など様々な苦労があったかと思うのですが、いかがでした?

一人のキャラクターを二人の俳優にお願いするのは結構大変でしたね。こういう事件に関わったりトラウマを抱えていたりしたらこんな風に変化するんじゃないか、というイメージを演じていただきましたが、「こうはならないでしょ」みたいなところもあったりすると思うので、そこはすごく難しかったです(笑) あと、その時代はポケベルだったか携帯だったか、この言葉で正しかったかどうか、といったそれぞれの時代のリサーチもいろいろ必要でした。ロケーションに関しては、「恋文」の場合なんですけど、ちょうどいい場所が見つかったのでそれはすごくラッキーでした。それでもそこに砂をまいたりとか、スタッフのみんなは大変だったと思います。車のエンジンがかからないことがあって、実はみんなでヨイショ!と押していたりするんです(笑) 動かないからCGで排気ガスを足してもらったりとか、そういう苦労はあったと言えばありました。

――そんなことがあったなんて、拝見していて全然気づきませんでした。

それは良かったです。CGチームも喜ぶと思います。

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――監督イチオシの見どころを教えてください。

シーズン2以降も引き継いでいこうと思っていることなんですが、キャストのチーム感はもちろん、過去の映像をエピソードごとにすべて違う見せ方をしていることですね。フィルムで撮ったり、DVCAMで撮ったり、少しノイズを載せたり、白黒で撮ったりと、それぞれの時代をイメージさせる映像にするために10話すべて変えているんです。より時代に引き込むために、その時代だからこそのザラつき感とか空気の重さみたいなものを表現したつもりです。そこもちょっと気にして見ていただけると嬉しいですね。

――最後に、この作品をご覧になる方へのメッセージをお願いします。

本作を見ながら、その時代に自分はどうしていたかといったことにも思いを馳せていただければと思います。シーズン2でもより身近に感じられるような事件を描いていくつもりです。リアルなのかリアルじゃないのか、その境界線を曖昧にしたいと思いますね。

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■商品情報
9月6日(水)ブルーレイ&DVD発売、DVDレンタル開始、デジタル配信開始
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発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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Photo:
波多野貴文監督
『連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~』
(c) WOWOW/Warner Bros. International Television Production

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