『ベイツ・モーテル』ベラ・ファーミガ(ノーマ・ベイツ役)インタビュー 「振り子の揺れのような、彼女の矛盾だらけの部分がとても好きよ」

名匠アルフレッド・ヒッチコック監督によるサスペンス映画の金字塔『サイコ』の前日譚を描く注目のドラマ『ベイツ・モーテル』。主人公ノーマンの母親ノーマ・ベイツを演じるベラ・ファーミガが、自身の演じるキャラクターや作品について語った。特殊な子供をひとりで育てる母親について今もなおリサーチし続けているという彼女の、その独自の感性から捉えた『ベイツ・モーテル』の世界観に触れてもらいたい。

ベラ・ファーミガ

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――まずは、あなたの演じるキャラクターであるノーマ・ベイツについて簡単に教えてください。

ああ、ノーマね! ノーマはノーマン・ベイツのお母さんよ。心配性で、ノーマンに深く関わりすぎて、依存関係を断ち切れないでいるの。エアクッションで自分の息子を包もうとするような親なんだけど、私は、精神的に崩壊した息子をコントロールしつつ、 愛することに基本的に必死な母親を演じているわ。

――あなたはどのようにノーマ・ベイツを演じているのですか? どこか異様な雰囲気がある人として演じているのですか? それとも、直面する厳しい環境を子育てに役立てようとするまっとうな母親役として演じているのですか?

私は、ノーマがどうやって気丈でいて勇気を持っていられるのか、ということを中心にして、ノーマというキャラクターを見るようにしているわ。ノーマは基本的に傷つきやすい性格なの。子供の頃は、愛情や思いやりを受けたり、与えたりすることに対して乗り越えられない障壁があったの。彼女はとてつもなく痛ましい過去が付きまとっていて、シーズン1の第10話を見ると、彼女の過去がどうやって影響を及ぼして、愛情をものすごく求めるようになったのか、つまり、彼女がまるでへその緒の紐をしっかりつかんで離さないように、ノーマンを束縛するのかが分かってもらえるわ。彼女は、自分の周りに自己防衛するための壁を作っているの。その壁は、前向きな嘘のようなもので、常に自分が誰なのか考える必要のある嘘なの。厳重に警備されている城壁なのよ。一方で、彼女には屈託ない正直さがあると思うわ。本当におおらかな心を持っていると思うの。彼女のストーリーは、神経学的に見て、特殊な子供をひとりで育てる親でいることの不満と喜びを伝えるものだと思うわ。私はたくさんのリサーチをしたけど、そこで、多くの思いやりを受けたわ。それに、ノーマを演じる際に、精神的に崩壊しているような子供をもつ親に必要とされる愛を理解しておくことを肝に命じたの。その愛は子供を育てるのに必要な無条件の愛と意志の強さになって、華めく人生をその子供と親にもたらすの。

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――リサーチをされたと言いましたが、どのようなリサーチをされたのかもう少し具体的に教えてもらえますか?

いいわよ。リサーチはずっと続けているわ。「母親と精神病質者」とネットで検索するとものすごい量の情報が出てくるの。その中から信用できる情報源を選んで、たくさんの情報に目を通したわ。リサーチの始めの頃は、母親の冷酷な行為を解明したり、その冷酷な行為をした母親が連続殺人鬼を育てた方法が、なぜ子宮と墓場を結びつけてしまうのかということを解釈していたわ。それと「motheringthemanic.com」というウェブサイトがあって、母親たちが証言をしているの。細かな日誌だけれど、そこで、心の病気を持つ子供たちを育てることがどういうものかが分かるわ。あと、5人の子供のうち2人が心に病気を抱えているある母親のブログでは、母親としての恐怖や怒り、混乱、希望を綴っていたわ。

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――あなたはこの役のどういったところに引きつけられたのですか?

どうなのかしら。私は、テレビや映画に詳しい振りをする気取り屋ではないの。私にとって、ストーリーを見て選ぶ方法はテレビも映画も変わらないわ。連続テレドラマに出たり、10話分だけ出演したり、1年に一回出演するテレビドラマの役を数年間続けたりすることと、『死霊館』(2013年)でロレイン・ウォーレンを演じることには全く違いはないの。『死霊館』でも同じようにリサーチをして、私にとってそのプロセスは映画もテレビも同じものなの。みんなが物語を観るのにパーソナル・デバイスとサラウンドスクリーンのどちらをどのように選ぶのかは、私にとって重要なことではないわ。私がこの作品で納得したのは、叙事詩のような探求性だけよ。つまり、ノーマの併せ持つ"母性"と"狂気"を叙事詩のように探求するところ。私は、脚本家が、ゴシック芸術のエチュードや協奏曲の楽譜のような脚本を私に書いているように感じるの。それはこのキャラクターを見ればとても明らかなことだけど、私は本当に珍しいタイプの女性の役をもらえたの。振り子の揺れのような、彼女の矛盾だらけの部分がとても好きよ。そのことは私にはとても重要なこと。ノーマが心の中で感じている断絶、はかなさ、虚しさ、戸惑い、深い絶望といったことを隠す機転、明るさ、美しさを兼ね備えているの。彼女はブランコ曲芸師のように、自分を抑える時と抑えられない時、悲しみにあふれる時と狡猾になる時、粘り強い時と弱々しい犠牲者の時と併せ持っていて、常に心が揺れ動いているのよ。

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――本作で面白いのは『サイコ』(1960年)の前日譚として、ノーマンが最終的にどうなっていくのか分かっていることです。そのことで、あなたとフレディ・ハイモア(ノーマン・ベイツ役)はどのような影響を受けていますか? ストーリーの終わりを知っている中で、あなたはどのように役を演じていますか?

そのことで興味が引かれるのは、私たちが完全にオリジナル版の『サイコ』に縛られていることなの。それはそれで楽しみがあると思うわ。私はみんなにノーマとノーマンを好きになってほしい。二人を応援してほしいの。本気よ。母と息子としての二人を応援してほしいわ。しかも、ずっとね。ノーマンとノーマは、地下室で幽霊のようにロッキングチェアに座る男と女になっていくことになるけど、私はそのことに全く影響を受けずに、一瞬一瞬を演技に集中しているわ。その瞬間の事実に集中するだけ。自分の能力を最大限まで引き出し、この上なく真実味をもって、そのシーンで演技をするの。容赦がないように見えるわね。実際、キャラクターの運命はかなり容赦のないものよ。でも、これは、二人がどうやってあの映画のような状況になっていくのかを見せるテレビドラマなのよね。悲劇じゃなくて、コメディを演じたいわ。俳優としての旅のどこかで、そうなれることを祈るわ。


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発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント


Photo:『ベイツ・モーテル』ベラ・ファーミガ
(C) 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.

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