サイコ前章『ベイツ・モーテル』日野由利加さん、岡本信彦さんに直撃インタビュー!

サスペンス映画の金字塔『サイコ』の前日譚を描く注目のドラマが、いよいよ日本上陸! 12月4日(木)の初回放送(WOWOWプライム)に先がけ、主役のノーマとノーマン親子の吹替を担当する日野由利加さん、岡本信彦さんのお二人を直撃し、ドラマの見どころやアフレコ現場の様子などをうかがってきました!

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――『サイコ』の前日譚を描くドラマと知って、まずどう思われましたか?

岡本:『サイコ』という映画の存在はもちろん知っていました。カメラワークや劇中の音楽の秀逸さも有名ですし。でも僕自身は、子どもの頃に断片的に見たことがあるという程度で。さっそく『サイコ』全編を見直しました。現代のCGのような手法がなくても、これほどまでに怖さを演出できるんだと再認識し、「本当にすごい作品だ!」と思いましたね。そんな『サイコ』の前日譚を描くドラマですから、オリジナルの要素やヒッチコック映画の雰囲気がどんな風にドラマの中にちりばめられていくのか、一映画ファンの目線で「楽しみ!」と気分が上がりました。

日野:60年代のヒッチコック映画の衝撃は、子どもながらに認識していたんですが、主体的に見ていたのは親の世代。私は間接的に見ていただけで。それでも、あの『サイコ』のモノクロのフィルムの味わいはよく覚えていたので、前日譚をドラマ化するにあたり『サイコ』のリアルさをどこまで追求していくつもりなのか気になりました。撮影の手法は60年代に比べて飛躍的に進化しているし、しかも今回のドラマの時代設定は「現代」。その二つの時代の交差をどう見せるのか、そこにとても興味が湧きました。

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――最初にドラマの第一話を見てみて、いかがでしたか?

日野:『サイコ』の雰囲気を生かしつつも、携帯電話やSNSなど現代のツールをうまくリンクさせている点が実に見事だと思いました。ドラマの制作陣のヒッチコックへのリスペクトも伝わってきて。もちろん、あらためて映画の『サイコ』も見直しました。

――オリジナルの『サイコ』を見直してみていかがでしたか?

日野:子どもの頃に初めて見た時に感じた、視覚効果と音響効果のすばらしさはやはり本物でした。それから、シャワーカーテンのシーンはやっぱりスゴかった! ラストのアンソニー・パーキンス演じるノーマンの表情も強烈なインパクトで。時代を超えても色あせない作品だと実感しました。

岡本:僕が一番驚いたのは、ヒロインのマリオンがあっさり殺されてしまうところ。衝撃的な展開ですよね。それから、ノーマンが最初は"いい人風"で登場するのにはゾッとしました。話が進むにつれて彼の狂気が徐々に浮き彫りになっていく様には、精神的な怖さを感じました。そして、いよいよノーマンの"母親"が登場するあのエンディング! またしても見事に騙してくれたな、と(笑)。

日野:いい意味で見る者を欺いてくれるところが面白いのよね。

岡本:そうなんです。自分の想像する展開がどんどん崩されていく、その意外性が面白いんです。

――ドラマの収録も順調に進んでいるようですが、映画『サイコ』にはないドラマならではの見どころを教えてください。

岡本:ずばり、ノーマンの母親ノーマの存在です。映画の『サイコ』では最後の最後になってあんな姿で登場した彼女の人となりが、今回のドラマの中で初めて描かれるわけですから。狂気めいているものの、良き母親の一面を見せたり、時に妖艶な雰囲気をかもし出したり。瞬間、瞬間でさまざまな表情を見せる、そんなノーマの存在そのものが大きな見どころだと思います。

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日野:ノーマももちろんだけれど、ノーマンがいかにして殺人鬼へと変貌していくのか、その過程も見どころだと思います。ドラマに登場するノーマンは、気弱な甘えん坊の男の子って雰囲気だから。

――では、日野さんはノーマをどんな女性だと思いますか?

日野:誰かに愛されたという実感がなく、自分自身も心底誰かを愛したことがない人だと思います。だから、愛情表現が歪んでしまったんじゃないか、と。長男のディランのことは愛せないのに、ノーマンに対してはものすごく執着していて、彼を徹底的に支配しようとするんです。母親というより女として彼を支配しようとしているようにも見えて。しかも、その執着心と支配欲の異常さに、彼女自身気がついていないフシがあって。

――岡本さんから見たノーマンの印象はいかがですか?

岡本:人の意見やその場の雰囲気に流されやすい子に見えますね。どこか"空っぽの器"みたいで、そこに誰が何を注ぎ込むかによっていかようにも変わる、そんなタイプのような気がします。僕も、どちらかと言うと両親の言いなりだったんで、何となく分かるんですよ(笑)。

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――ご両親に反抗したことはなかったんですか?

岡本:初めて両親に反抗したのは進路についてでした。両親の反対を押し切って声優への道を選んだんです。ただし、大学だけは卒業してほしいという両親の言葉に従い、大学に行きながら声優の養成所に通うというスタートでしたが。今となっては両親も全面的に応援してくれていて、僕が出演した番組を録画したり、掲載誌の切り抜きを集めたりしてくれています(笑)。

――出演した番組というお話が出ましたが、岡本さんはこれまでアニメ中心で活躍してこられましたよね?

岡本:そうなんです。日本のスーパー戦隊シリーズをベースにした海外ドラマ「パワーレンジャー・ミスティックフォース」が逆輸入された時にレギュラーを経験しましたが、あちらは2.5次元モノというか、本格的な海外ドラマとはちょっと違うので。

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――海外ドラマとアニメのアフレコでは、勝手が違いますか?

岡本:違います! アニメの場合は、自分でキャラクターを想像しながら作り上げていく部分が大きいんです。自分の声だけでいかにキャラクターを飛び越えさせることができるがポイントというか。その点、外画の吹替の場合は、逆に深いところを突き詰めていくところがあって。最初はその"深さ"に圧倒されました。「どうしよう~!僕が知らない世界観がスタジオのブースの中に広がってる!」って(笑)。

――吹替ならではの難しさはありますか?

岡本:あります。アニメの演技のクセが出て、「ここは分かりやすくしよう」と自分なりの誇張を加えると、「そうじゃない」ってディレクターからダメ出しされることも。どちらかと言うと、アニメの方が芝居を"点"でとらえがちかもしれないですね。2次元の絵の動きに合わせた演技になるんで。その点、人間の動きに演技をつける外画の吹替は、人間という器に魂を入れるような感じと言えばいいのでしょうか。まだまだ勉強中ですが、そんなことを考えながら演じています。

――では、岡本さんから見た吹替のスペシャリストたる日野さんの演技はいかがですか?

岡本:日野さんはとても華奢でいらっしゃるのに、「どうしてこんなに力強くて深いんだろう! 」といつも感動しています。「どこからこんなパワーが出るの!?」って。しかも、演技に母性が満ちあふれていて。「ママ」って呼んじゃいたくなる雰囲気なんです(笑)。

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日野:ディレクターには「母ちゃん」って呼ばれてます(笑)。

岡本:そうそう! 確かに「母ちゃん」って呼ばれてる(笑)。それはそれとして、とにかく日野さんの声には、その場を支配する力がありますね。一声発するだけで聞く者全員を圧倒するというか。息子役を演じているせいかもしれませんが、「日野さんの言うことはきかなきゃ!」って、とっさに思っちゃいます(笑)。

――逆に日野さんから見た岡本さんの吹替の演技の印象はいかがですか?

日野:素直に客観的な目で作品を見ようとしているところがすばらしいですね。これは、アニメのアフレコにも吹替のアフレコにも必要なこと。先入観を持たず、第三者的な立場である視聴者の目線から作品に入っていく、天性の才能をお持ちだと思います。仕事でご一緒するのは初めてだし、岡本君自身も吹替についてはまだ勉強中だと言うけれど、スタジオで隣に座っていてもまったく違和感はないですね。私もまったく気を遣っていません(笑) そこが岡本くんのすごいところです。

――岡本さんの吹替の演技、大絶賛ですね!

日野:アニメで作品を背負ってきた経験から、いろいろなことをよく理解されているんだと思います。確かに、外画の吹替の場合は向こうの役者さんが作り出した世界観に合わせなければいけないという制約はありますが、表現者としてやるべきことを全力でやる、その点はアニメも吹替も同じ。だから、岡本君にはこれからも安心してがんばってほしいです。むしろ、私の方が彼のがんばりに乗っからせていただきます(笑)

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――アフレコ現場の雰囲気も教えていただけますか?

岡本:日野さんはもちろん、ロメロ保安官役の斉藤次郎さんが、ムードメーカーとして現場を盛り上げてくださっています。エマ役の豊崎愛生さんとブラッドリー役の戸松遥さんも、僕と同じく本格的な海外ドラマのレギュラーは初めてなので、僕ら3人はかなりドキドキしているんですが、日野さんや次郎さんが緊張を和ませてくださるので本当に助かっています。優しくてありがたい現場です!

日野:ドラマの内容が内容ですから、スタジオの中には笑いの要素を増やすよう心がけています。息抜きできていたほうが、むしろ本番ではスッと役に入って集中できますから。これからもスタジオ内でリラックスした雰囲気作りをしていきたいんですが、何せ私自身もまだ余裕がなくて(笑)。

――余裕がないようにはとても見えません!

日野:いやいや(笑) とにかく、今回の現場は若いメンバーも多いので、当時から『サイコ』を知っている世代と、ドラマを機に初めて『サイコ』に触れた若い世代、両世代間のギャップをうまく取り入れていければと思っています。そして、そのギャップが「ベイツ・モーテル」という作品の中で、どんな新しい風を吹かせてくれるのか私自身も楽しみにしています。
楽しみと言えば、若いキャストのみなさんの演技も! 良い意味で予想を裏切る芝居を見せてくれるので刺激になります。

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――では、最後に「ベイツ・モーテル」を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします!

日野:では息子から(笑)

岡本:あ、はい! 分かりましたお母さん!(笑) とにかく『サイコ』のノーマン・ベイツというキャラクターに良くも悪くも興味を持たれた方なら、このドラマは必見です。僕自身も『サイコ』を見てノーマンの生い立ちに興味を持ちました。ドラマの中では、彼が殺人鬼へと成長していく過程、そのすべてが描かれます。ノーマンにも母親がいて、友達がいて、学校生活もあって。『サイコ』には登場しない兄との関わりもあります。ノーマンの人間性を育んだ環境、そのすべてが大きな見どころです。加えて、「ベイツ・モーテル」があるオレゴンの片田舎の独特な雰囲気や空気感も味わっていただけたら嬉しいです。

日野:モノクロ映画がまだ残っていた60年代は、精神的にとても豊かなモノ作りが行われていた時代だと思います。そんな時代に作られた『サイコ』という作品の前日譚を、現代に舞台を置き換えてドラマにしたのが「ベイツ・モーテル」という作品です。二つの世代をクロスさせた作りになっているのが、この作品の面白いところ。どちらの世代の人にも一緒になって楽しんでほしいと思います。特に、この作品ならではの余韻も楽しんでいただきたいです。楽しんで!楽しんで!と言うわりには、楽しい内容じゃないんですが(笑)

岡本:いえいえ(笑) 内容は内容ですが、楽しいドラマですよ!(笑)

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『ベイツ・モーテル』<放送情報>
12月4日(木)23:00~[第1話無料放送] (全10話)
毎週木曜 23:00[二]
毎週金曜 24:00[字]

Photo:日野由利加さん、岡本信彦さん
『ベイツ・モーテル』(C)2012 Open 4 Business Productions LLC, ALL RIGHTS RESERVED.

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ライタープロフィール

やなぎだるみ
やなぎだるみ

海外ドラマで情操教育に取り組む子持ちライター。 ソフトウェア解説書の執筆等、テクニカルライティングの分野でも活動中。最近は、クリンゴン語の研究にはまっている。

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