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米国TVトークショーの魅力と、オスカー授賞式司会の栄光

テレビ業界に進出した後は、シットコムや映画界でも活躍した。
オプラ・ウインフリーが司会のトークショーで、同性愛者であることをカミングアウトし、自身が主演する『Ellen』というシットコムでも、自分の演じる役柄が同性愛者であるシーンを演じ、大きな注目を呼んだ。

2003年にスタートした昼間の『エレンの部屋』は、高い人気と評価を獲得し、
この10年でピープルズ・チョイス・アワードの"人気ショーホスト"の部門でほとんど賞を逃したことが無い。デイタイム・エミー賞のノミネート&受賞は数えきれず、やがてグラミー賞の司会進行、プライムタイム・エミー賞の司会も任された。
アニメ『ファインディング・ニモ』では、健忘症のドリーを演じ、サターン賞やアニー賞を受賞し、才能の多彩さを証明している(ちなみに、"ドリー"が主役となる新作も製作中!!)。無名から、第一線の栄光に達した今もなお、エレンは留まる所を知らない。56才とは思えない、若々しいオーラがある。

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僕個人の記憶で、彼女の印象が強烈だったのは、第79回アカデミー賞授賞式のホストに抜擢された時だ。

客席にいたマーティン・スコセッシ監督に「いい映画の企画を持って来たんだけど、読んでくれる?」と台本を渡したり、『硫黄島からの手紙』のノミネートで座っていたクリント・イーストウッド監督との2ショット写真を、すぐ横のスティーブン・スピルバーグ氏(同作の共同プロデューサーとして列席)にデジカメで"撮らせ"たりと、巨匠たちとの破天荒な、しかし微笑ましいパフォーマンスで観客席の笑いを誘った。

「なんという度胸なんだろう...」と、当時心から感心したものだ。

今年、1月16日のアカデミー賞のノミネート発表会場で、
授賞式のプロデューサー(昨年から2年連続)である重鎮クレイグ・ゼダン氏とニール・メロン氏に、当日の3時間を超えるショーのライター(脚本家)は何人くらいいるのか? と聞いてみた所、番組のライターに加え、エレンの専属のライターたちもそこに加わることを少しだけ教えてくれた。

昨年は、司会者セス・マクファーレンに加え、少なくとも10人以上のライターがショー台本を創り上げているので、今年はそれ以上のものが期待できるのではないだろうか?

前述したジェイ・レノや、エレン・デジェネレスのような、スタンダップ出身の司会者たちの強みは、

《自分たちも"ライター"である》という資質だ。

そして自分だけでなく、優れたコメディ脚本家たちを抱え、
チームとして英知を結集して闘っていることだ。
『エレンの部屋』には、エレン本人の他、チーフのライターなど1回の放送につき、やはり10人近いライターたちの名前が番組の終了時のテロップに流れる。

20140214_c05.jpg『エレンの部屋』はデイタイムのトークショーだが、やはり彼女のモノローグから番組は始まり、とびきりのゲストを迎える。次々に一流の人物と平然と渉り合う彼女だからこそ、最高峰の映画の祭典にさえ大抜擢されるのだ。

温かく、他者を貶めたり、攻撃したりせず、品格を保ちながら、ホストとして進行できる手腕を最大限に発揮した、第79回のオスカーでの彼女の仕事は、その年のプライムタイム・エミー賞の"(バラエティーや音楽番組などにおける)優秀個人パフォーマンス"の部門で、堂々ノミネートまで受けている。


ジェイ・レノ、デイヴィッド・レターマンらが牽引し、エレン・デジェネレスやジミー・ファロンらが脈々と引き継ぐアメリカのテレビの顔であるトークショーの伝統。

「笑いと共に始まるモノローグ、一流のゲストの登場、音楽パフォーマンス...」

というフォーマットは、考えてみると、アカデミー賞やエミー賞の授賞式の現在の形に重なるところがある。
たった1人で生番組を引っ張りきれる彼らだからこそ、プロとして祭典の舵取りを任されるのだ。

本年度のオスカーでエレンが、どんな"モノローグ"で観客と視聴者を沸かせ、
どんなサプライズを盛り込み、どんなエンターテイナーぶりを見せてくれるのか、実に楽しみである!!!

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Photo:ジェイ・レノ
(c)Ima Kuroda/www.HollywoodNewsWire.net
ジェイ・レノ&ヒュー・ジャックマン
(c)Ima Kuroda/www.HollywoodNewsWire.net
エレン・デジェネレス
(c)Izumi Hasegawa/www.HollywoodNewsWire.net
エレンの部屋
(c) A Very Good Production and WAD Productions, inc. in association with Telepictures

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ライタープロフィール

尾崎英二郎
尾崎英二郎

リアリズムを追求する米国の演技手法を日本で学び、NHK『あぐり』でTVデビュー。

99年のNYオフ・ブロードウェイ公演『ザ・ウインズ・オブ・ゴッド』で現地メディア批評家に演技を称賛され、その後アメリカの映画/TV業界を目指す。03年、侍のアクションメンバーとして出演した『ラストサムライ』をきっかけに人脈を広げた。

06年に主要キャストとして日本から抜擢された『硫黄島からの手紙』でハリウッドへの扉をこじ開け、ついに念願の本格渡米を実現。

米TVシリーズ『TOUCH/タッチ』『フラッシュフォワード』『HEROES/ヒーローズ』など、自らの出演体験をもとに、ハリウッドのシステムの凄みを伝える。

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