ミスター・メルセデス スペシャルサイト | 映画・海外ドラマのスターチャンネル[BS10]

Netflix発、ケヴィン・スペイシー主演の『House of Cards』が、本格的なネット・ドラマ時代の幕開けを告げる

実際、ストリーミングは便利だ。PCはもちろん、スマホ、タブレット、スマートテレビ でも観ることができる。スマートじゃない旧式のテレビでも、Wiiやプレイステーションなどのゲーム機器を繋げることで視聴可能だ。TV放送のようにコマーシャルに中断されることもなければ、DVDのように返却する必要もない。そのように考えると、ここ4~5年でレンタルDVDの店がNYの街中から軒並み姿を消してしまったのも、 時代の自然な流れだと思えてくる。

若者を中心に、Netflixのストリーミングの人気は高い。昨年のクリスマスイブの夜、同社のストリーミング・サービスが技術的問題で一時的にダウンすると、多数の視聴者から苦情が殺到し、そのことが大きなニュースとなった。また、今年の3月28付のNY株式市場では、S&P(スタンダード&プアーズ。投資情報会社)総合500種が 過去最高値を更新したが、そのうち最もパフォーマンスの良かった銘柄がNetflix株だった。同社は今や、映画やテレビの業界関係者が無視できないほど巨大な存在になっている。

そんなNetflixが、『House of Cards』プロデュースのために出資した金額は1億ドル。円に換算すると約94億円という、日本のドラマ制作スタッフが聞いたら泣いて悔しがるような数字だ。このように巨額の資金を、同社初の単独プロデュースとなるシリーズドラマによくもまぁ惜しげもなく、と思ってしまうが、しかしNetflixの上層部には、『House of Cards』がヒットすることは撮影が始まる前からわかっていたという。なぜなら、これまでの同社のストリーミング・サービスからの膨大なデータがあったからだ。

米国内で2700万人、全世界では3300万人がユーザーとなっているNetflix。同社ほど、視聴者のデータを大量に保持している会社もないだろう。米国では、ピーク時のインターネットのダウンロードの3分の1は、Netflixのストリーミングに占められているという。また、昨年はDVDで映画を観た人よりも、ストリーミングで映画を観た人のほうが多かった、という情報もある。

20130402_c03.jpgNetflixが提供しているストリーミング・サービスでは、視聴者がいつどの映画(あるいはドラマ)を再生し、どの場面で停止したか、あるいは、最初から最後まで観たか、それとも途中で観るのをやめたか、などのデータがすべて記録されている。そのため、 デヴィッド・フィンチャー監督作品『ソーシャル・ネットワーク』を多くの視聴者が最初から最後まで観たこと、ケヴィン・スペイシーが出演している映画はいつもよく観られていること、『House of Cards』の元ネタである英国版ドラマ『House of Cards』がよくストリーミングされていることなどを、 Netflixは知っていた。だから同社は『House of Cards』のヒットを確信し、パイロット版をチェックする必要もなく、2シーズン全26エピソード分を一気に発注できたというのだ。

ビッグ・データに支えられているNetflixのドラマ製作は、もちろん『House of Cards』だけでは終わらない。 既にかつてFOXが打ち切ったシットコム『アレステッド・ディベロプメント(邦題:「ブル~ス一家は大暴走!」)』の新エピソードを製作し、来月には14話分をストリーミングで公開するほか、年内にさらに3本の新シリーズドラマの公開を予定している。そして来年には、映画『マトリックス』をクリエイトしたウォシャウスキー姉弟による、新しいSFシリーズドラマが始まるという。

シェアする このエントリーをはてなブックマークに追加

ライタープロフィール

南雲祐輔
南雲祐輔

NY在住のリサーチャー/ライター。好きなドラマは『シックス・フィート・アンダー』『ブレイキング・バッド』『ゲーム・オブ・スローンズ』など。好きなシチュエーション・コメディは『HEY!レイモンド』。

海外ドラマNAVIを面白くするライター・一覧を見る

PAGE UP